経営における不易流行とは?
「最適」ではなく「満足」をめざす
企業において戦略や実行においてはあらゆる選択肢を比較して「最適の方法」を求めますが、現実には情報の収集には限界があります。
行動のポイント:
全ての選択肢を洗い出すことに時間をかけすぎず、あらかじめ設定した「最低限クリアすべき基準(満足化基準)」を満たす案が見つかったら、迅速に意思決定を行うことが重要です。それにより 意思決定のスピードが上がり、組織の停滞を防げます。
組織内の「緩やかな合意」を形成する
企業は一つの意志を持った生き物ではなく、異なる目標を持つ「連合体(セールス、製造、財務など)」です。全員が100%納得する唯一の目標を立てることは不可能です。
例えば・・・
開発部門: 「最新技術を詰め込みたい!予算度外視で最高スペックを!」
営業部門: 「安くないと売れない!とにかく価格を抑えてほしい」
財務部門: 「赤字は許さない。利益率を確実に確保してほしい」
もし、全社目標として「世界最高の利益と世界最高の技術を同時に達成する」という完璧な目標を掲げると、部門間で激しい衝突が起き、議論は平行線のまま進みません。
行動のポイント:
各部門が「最低限これだけは譲れない」というライン(満足化基準)を出し合い、折り合いをつけます。
合意内容: 「価格は据え置き、利益率は〇%を確保する。その代わり、開発が推す『目玉機能』は1つだけ採用し、他は既存技術を流用する」
これが「緩やかな合意」です。全員が100点満点と思っているわけではありませんが、「この条件なら、自分の部門もなんとかやっていける(満足できる)」という妥協点を見つけて前へ進みます。
目標の逐次的な処理(優先順位の入れ替え)
一度に全ての不満を解消しようとせず、時期をずらして対応します。
「今期は『営業』の要望を飲んで価格重視でいくが、次回のモデルチェンジでは『開発』がやりたがっているデザイン刷新を最優先にする」といった形で、不満を時間差で解消します。
「予備の予算」や「余裕のある納期」を持たせることです。
例えば、予算に少し余裕(スラック)があれば、財務部門に内緒で(あるいは黙認の上で)、開発部門が少しだけ余計な実験をする余裕が生まれます。この「余裕」があるおかげで、厳しい目標設定による部門間のギスギスした対立が緩和され、協力体制が維持しやすくなります。
「完璧な答え」を求めて動けなくなるよりも、「今の基準を満たす解」を素早く実行し、経験から学習して組織のルーチンを更新し続けることが、企業の生存戦略と言えます。




