Mybestpro Members

森田祐司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

「人間や組織の能力には限界がある(限定合理性)」

森田祐司

森田祐司

テーマ:経営戦略


「最適」ではなく「満足」をめざす

企業において戦略や実行においてはあらゆる選択肢を比較して「最適の方法」を求めますが、現実には情報の収集には限界があります。

行動のポイント:
全ての選択肢を洗い出すことに時間をかけすぎず、あらかじめ設定した「最低限クリアすべき基準(満足化基準)」を満たす案が見つかったら、迅速に意思決定を行うことが重要です。それにより 意思決定のスピードが上がり、組織の停滞を防げます。

組織内の「緩やかな合意」を形成する

企業は一つの意志を持った生き物ではなく、異なる目標を持つ「連合体(セールス、製造、財務など)」です。全員が100%納得する唯一の目標を立てることは不可能です。

例えば・・・

開発部門: 「最新技術を詰め込みたい!予算度外視で最高スペックを!」
営業部門: 「安くないと売れない!とにかく価格を抑えてほしい」
財務部門: 「赤字は許さない。利益率を確実に確保してほしい」

もし、全社目標として「世界最高の利益と世界最高の技術を同時に達成する」という完璧な目標を掲げると、部門間で激しい衝突が起き、議論は平行線のまま進みません。

行動のポイント:
各部門が「最低限これだけは譲れない」というライン(満足化基準)を出し合い、折り合いをつけます。

合意内容: 「価格は据え置き、利益率は〇%を確保する。その代わり、開発が推す『目玉機能』は1つだけ採用し、他は既存技術を流用する」

これが「緩やかな合意」です。全員が100点満点と思っているわけではありませんが、「この条件なら、自分の部門もなんとかやっていける(満足できる)」という妥協点を見つけて前へ進みます。

目標の逐次的な処理(優先順位の入れ替え)

一度に全ての不満を解消しようとせず、時期をずらして対応します。

「今期は『営業』の要望を飲んで価格重視でいくが、次回のモデルチェンジでは『開発』がやりたがっているデザイン刷新を最優先にする」といった形で、不満を時間差で解消します。

「予備の予算」や「余裕のある納期」を持たせることです。

例えば、予算に少し余裕(スラック)があれば、財務部門に内緒で(あるいは黙認の上で)、開発部門が少しだけ余計な実験をする余裕が生まれます。この「余裕」があるおかげで、厳しい目標設定による部門間のギスギスした対立が緩和され、協力体制が維持しやすくなります。

「完璧な答え」を求めて動けなくなるよりも、「今の基準を満たす解」を素早く実行し、経験から学習して組織のルーチンを更新し続けることが、企業の生存戦略と言えます。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

森田祐司
専門家

森田祐司(人材開発・組織活性化専門コンサルタント)

株式会社キャリアリーダーシップラボ

経営課題の解決と人材育成の知見を有し、人と企業の成長を促す多彩なプログラムで実践的な研修を実施。ビジネスススキルの習得やチーム力強化のほか、企業ごとの人材開発戦略を構築するコンサルティングも

森田祐司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

人と企業の潜在能力を開花させる人材育成のプロ

森田祐司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼