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森田祐司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

阿吽(あうん)の呼吸 、ツーカーの仲、以心伝心 、暗黙の了解

森田祐司

森田祐司

テーマ:チームビルディング

シェアドメンタルモデルが高度に機能している「状態」

シェアドメンタルモデルとは、簡単に言えば「チームメンバー全員が、現在の状況、タスク、役割、将来の予測について『同じ絵(イメージ)』を頭の中に描けている状態」のことです。単に「情報を共有している」こととは異なり「この状況では誰がどう動くべきか」「トラブルが起きたら次はどうなるか」といった因果関係や文脈、暗黙の了解までもが共有されている状態です。
例えば熟練したスポーツチームが、目配せ一つ(あるいはそれすら無し)で連携プレーを行うのは、全員が「この状況なら、彼があそこに走るはずだ」という共通のメンタルモデルを持っているからです。つまり、阿吽の呼吸 、ツーカーの仲 、以心伝心 、暗黙の了解状態とも言えます。

シェアドメンタルモデルの重要性「状態」

かつてのトップダウン型の組織では、上司が全ての指示を出し、部下はそれに従うだけで機能していました。しかし、現代のビジネス環境(VUCA時代)では、以下のような理由からシェアドメンタルモデルの重要性が飛躍的に高まっています。

1.予測不可能性への対応: マニュアルにない事態が頻発するため、現場判断が求められる。
2.専門性の細分化: メンバーそれぞれの専門領域が異なるため、互いの文脈を理解する「共通言語」が必要。
3.リモートワークの増加: 非言語的な情報が減る中で、以心伝心のベースとなる共有モデルがないと認識のズレが生じやすい。

シェアドメンタルモデルが企業にもたらす効果

① 暗黙の調整の実現
言葉で説明しなくても、メンバーが互いの意図を汲み取り、先回りして行動できるようになります。例えば無駄な会議や確認作業が減少し、業務スピードが劇的に向上します。いわゆる「阿吽(あうん)の呼吸」が論理的に裏付けられた状態です。

② 意思決定の迅速化と分散化
「私たちのゴールは何か」「優先すべき価値観は何か」というメンタルモデルが共有されていれば、現場のメンバーが上司の判断を待たずに自律的かつ適切な意思決定を行えます。それにより現場のエンパワーメントが進み、市場の変化に対する反応速度(アジリティ)が高まります。

③ チームのレジリエンス(回復力)向上
予期せぬトラブルやエラーが発生した際、誰かがミスをしても、他のメンバーが即座に「彼がミスをしたということは、次はこの工程が遅れるはずだ」と予測し、カバーに入ることができます。例えばシステムダウンやクレーム対応など、緊急時における組織崩壊を防ぎ、素早いリカバリーが可能になります。

④ 心理的安全性と学習の促進
「相手がどう考え、どう動くか」が予測可能であることは、チーム内の不安を取り除きます。また、失敗しても「なぜそうなったか」の背景共有が早いため、個人攻撃ではなくシステム改善への議論へ移行しやすくなります。それにより 建設的なフィードバックが増え、チーム全体の学習サイクルが加速します。

組織の「OS」をアップデートする

シェアドメンタルモデルは、一朝一夕に構築できるものではありません。日々の事前の認識合わせや事後の振り返り、あるいは互いの業務を知るクロストレーニングなどを通じて、少しずつ「認識のズレ」を修正し続けるプロセスそのものです。

この「見えない共有知」への投資は、チームというハードウェアを動かすための「OS(オペレーティングシステム)」を最新・最適化することに他なりません。OSが共通化され、高機能であればあるほど、企業はそのパフォーマンスを最大限に発揮できるのです。

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森田祐司
専門家

森田祐司(人材開発・組織活性化専門コンサルタント)

株式会社キャリアリーダーシップラボ

経営課題の解決と人材育成の知見を有し、人と企業の成長を促す多彩なプログラムで実践的な研修を実施。ビジネスススキルの習得やチーム力強化のほか、企業ごとの人材開発戦略を構築するコンサルティングも

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