組織の課題、見えていますか?
POS:知覚された組織的支援
Perceived Organizational Support (POS:知覚された組織的支援)とは、従業員が「組織は自分の貢献を評価し、自分の幸福(Well-being)を気にかけてくれている」とどの程度感じているかという主観的な認識のことです。
このPOSを高めることは、単なる福利厚生の充実ではなく、従業員との「心理的な信頼関係」を築き、離職を防ぐと共に、エンゲージメントを高めることにつながります。
1. POSの重要性:なぜエンゲージメントに直結するのか
POSの根底には、社会心理学における「返報性の原理(Reciprocity)」があります。
従業員は、組織から大切にされていると感じると(POSが高い状態)、その恩に報いるために「組織の目標達成に貢献しよう」という義務感と意欲を持ちます。
これにより、情緒的コミットメント(組織への愛着)が高まり、結果としてパフォーマンスの向上、離職意図の低下に直結します。逆にPOSが低いと、社員は組織を「単なる取引相手」と見なし、より良い条件があれば離職することを考えます。
2. POSを高め、離職を防ぐ具体的アプローチ
POSを高めるためには、「支援が存在すること」だけでなく、その支援が「組織の自発的な意志で行われている(義務や外圧ではない)」と従業員に伝わることが重要です。
評価等の公平性
結果(給与額など)だけでなく、決定プロセス(なぜその評価になったか)の透明性の担保等フィードバックの質を高めること等、「組織は自分を公平に扱っている」という感覚がPOSの基礎となります。
上司によるサポートの強化(組織の代理人)
従業員にとって、直属の上司は「組織の代表」です。上司からの支援は、そのまま組織からの支援として知覚されます。
業務上のアドバイスだけでなく、キャリア相談やワークライフバランスへの配慮を行うこと。「あなたの成長と生活を気にかけます」というメッセージを1on1などで伝達し続けることも大切です。
POSを高めることと、社員のエンゲージメント
社員のエンゲージメントを高め離職を防ぐには、物理的な報酬以上に「組織は私の味方である」という確信(POS)を持たせることが不可欠です。 「公正なプロセス」「上司のケア」「社員の成長への投資」等を通じて、組織からの好意(Goodwill)を可視化し続けることが、最強のリテンション策となります。




