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自社の経営課題は技術的問題か適応課題か?

森田祐司

森田祐司

テーマ:経営課題


中小企業が抱える経営課題は、技術的問題と適応課題に分類される

技術的問題とは
技術的問題とは、既存の知識や手順、専門家の力で解決できる、明確な原因と解決策を持つ課題です。

【企業経営上の技術的問題例】
・ITシステム(特定課題解決のためのシステム化)の導入・操作方法の習得
・生産ラインの特定のボトルネック解消のための生産手順改善
・既存製品の品質規格の維持・向上
・特定の法律や規制への対応
これらは、外部のコンサルタントや専門家が具体的な解決策を提案し、実行を指導することで対応が可能です。

適応課題とは
適応課題とは、既存の知識や手順では解決できず、組織や個人(特に経営層や従業員)の価値観、行動、役割、関係性を変革することによってのみ対応可能な複雑で不明確な課題です。

【企業経営上の適応課題例】
・事業環境の激変に伴うビジネスモデルの再構築
・組織文化の変革や従業員のモチベーション向上
・後継者育成や権限移譲
・新しい市場や顧客ニーズに対応するための意識改革

これらは、トップダウンの指示や外部の専門家による単なる提案だけでは解決せず、当事者自身が学び、試行錯誤し、時には痛みを伴う変化を受け入れることが不可欠です。

中小企業の経営課題は適応課題も多い

適応課題に取り組む際のポイント
1. 現場への「問いかけ」と「内省」を促す
具体的な解決策を提示するのではなく「我々の存在意義は何か?」「この変化に対して、我々は何を諦め、何を守るべきか?」といった本質的な問いを投げかけます。経営層や従業員が、自分たち自身で課題の本質に気づき、内省を通じて自律的な変革への動機を引き出すことが最優先です。

2. 変化を支える「安全な場」を提供する
適応課題への取り組みは、失敗や衝突を伴います。失敗しても責められない環境(心理的安全性)を確保し、多様な意見や立場の違いがオープンに議論できる「場」を設計・運営します。これにより、従業員は本音で議論し、痛みを伴う変化に対しても当事者意識を持って取り組めるようになります。

3. スモールスタートと「成功体験の積み重ね」を重視する
壮大なビジョンだけでは、現場は動けません。変革のプロセスを細分化し、すぐに着手できる具体的な小さな実験(スモールスタート)を設定します。その小さな実験で得られた早期の成功体験を組織全体で共有し「自分たちにも変えられる」という自信と勢い(モメンタム)を醸成することが、大きな適応へと繋がります。

組織のリーダーは「技術的な問題の解決者」ではなく、「組織の変革学習を支援するファシリテーター」としての役割を果たすことが求められます。

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森田祐司
専門家

森田祐司(人材開発・組織活性化専門コンサルタント)

株式会社キャリアリーダーシップラボ

経営課題の解決と人材育成の知見を有し、人と企業の成長を促す多彩なプログラムで実践的な研修を実施。ビジネスススキルの習得やチーム力強化のほか、企業ごとの人材開発戦略を構築するコンサルティングも

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