組織の8割はフォロワーで決まる!
批判的思考(自律性)の高さと、積極的関与(貢献意欲)の高さ
バート・ケリー教授は、組織の成果においてリーダーの影響は1~2割にすぎず、残りの8~9割は「フォロワーシップ」を持つメンバーの貢献に左右されるという理論を提唱しました。この理論は、単に従順なだけでなく、主体的にリーダーや組織に働きかけ、貢献するメンバーの重要性を強調するものです。また、ケリー教授はフォロワーを「批判的思考」と「積極的関与」の2つの軸で5つのタイプに分類しています。
| タイプ | 批判的思考 | 積極的関与 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 模範的 | 高い | 高い | 最も理想的。自ら考え行動し、必要な時には建設的な批判や提言を行う。リーダーにとって最も頼りになるパートナー。 |
| 孤立型 | 高い | 低い | 評論家タイプ。批判的思考は高いが、貢献意欲が低く、積極的に行動しない。チームから孤立しがち。 |
| 順応型 | 低い | 高い | イエスマンタイプ。リーダーの指示には従順だが、自発的な提案や批判はしない。指示待ちになりやすい。 |
| 消極的 | 低い | 低い | 無気力タイプ。自分の意見も行動もなく、組織への貢献意欲も低い。実質的にフォロワーとは言えない。 |
| 実務型 | 中程度 | 中程度 | リアリストタイプ。自分の業務範囲内では適切に遂行するが、それ以上は積極的に関わらない。現状維持志向。 |
次期リーダーとして育て・登用すべきタイプ
次期リーダーとして最も優先して育成・登用すべきフォロワーは「模範的フォロワー」です。
模範的フォロワーを最優先すべき理由
「模範的フォロワー」は、次期リーダーに求められる以下の2つの重要な資質を既に兼ね備えています。
批判的思考力(戦略的思考・問題発見力)
・リーダーの方針を鵜呑みにせず、建設的な批判や代替案を提示できる。
・組織の目的達成のために何が最善かを自律的に考えられる。
積極的関与(実行力・当事者意識)
・リーダーのビジョン実現のために主体的に行動し、周囲を巻き込むことができる。
・困難な状況でも諦めずに貢献しようとする高い意欲を持つ。
フォロワータイプ別育成のポイント
模範的タイプ
権限委譲やサブリーダーなどの役割を与え、リーダーの視点・責任感を体験させる。次期リーダー候補として早期に育成プログラムに参加させる。
孤立型
貢献意欲を高めるために、彼らの知識や批判的視点がチームに不可欠であることを伝え、具体的な役割と責任を与えて積極的に関与する機会を作る。
順応型
批判的思考力を養うために、「あなたならどうする?」と常に問いかけ、主体的な意見や提案を歓迎・評価する文化を作る。
組織全体のフォロワーシップの底上げを図りつつ、特に模範的フォロワーを次期リーダー候補として積極的に登用し、成長を加速させることが、組織の継続的な発展に重要です。




