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中小企業が取り組むべき人的資本経営とは?

森田祐司

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テーマ:人的資本経営


人的資本経営とは?

人的資本経営は、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、企業価値向上につなげる経営のあり方です。

ヒューマンリソースマネジメント(HRM)とヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)の違いとは?

項目HRMHCM
人材の捉え方人材はコスト(消費する資源)人材は資本(価値を生み出す源泉)
目的採用・配置・評価・労務管理経営戦略と連動した人材戦略・人材価値の最大化
視点過去から現在にかけての管理中長期的な未来志向

中小企業が行うべき人的資本経営施策

中小企業が人的資本経営を実践する上で、大規模な投資や複雑な制度設計は必ずしも必要ありません。既存のリソースを活かしながら効果的に取り組めることがあります

1.経営理念の言語化と共有の徹底
自社が目指す姿、大切にする価値観を明確にし「理念ハンドブック」などで言語化して全従業員と共有します。これにより、従業員のエンゲージメント(企業への愛着や貢献意欲)を高め、組織との一体感を生み出します。

2.人材戦略と経営戦略の連動
「会社のゴールを達成するために、どのような人材が必要か、その人材をどう育成・配置するか」という視点で人事施策を考えます。例えば、新しい技術を導入する経営戦略があれば、関連するスキル習得のための研修(学習環境の提供)を戦略的に行います。

3.従業員の能力・スキルの可視化
従業員一人ひとりの知識、スキル、経験を把握し、データとして可視化します。これを通じて、個人の能力が活かせる適切な人材配置や、不足している能力を補うための育成計画を立てます。

4.コミュニケーションの促進とエンゲージメント向上
雑談が生まれる環境づくりとして、自然と人が集まる場を提供することで、部門を超えたカジュアルなコミュニケーションを促進します。また働きがい・やりがいの醸成として、従業員が「この仕事は面白い」「この会社が好き」と感じられるよう、仕事の意義を伝えたり、裁量権を与えたりする仕組みを作ります。

5.公正な評価と賃金の適正化
従業員が「給与がしっかり払われている」と納得できる、適正な水準の賃金制度と、成果や貢献を正当に評価する仕組みを構築します。これは、優秀な人材の定着に直結します。

人的資本経営により、企業は人材に投資し従業員のスキルや能力が向上し、企業への信頼や愛着(エンゲージメント)が高まります。その結果、従業員が「自律的・主体的に」仕事に取り組むようになり、組織全体の生産性が飛躍的に向上します。この好循環を回すことが重要です。

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森田祐司
専門家

森田祐司(人材開発・組織活性化専門コンサルタント)

株式会社キャリアリーダーシップラボ

経営課題の解決と人材育成の知見を有し、人と企業の成長を促す多彩なプログラムで実践的な研修を実施。ビジネスススキルの習得やチーム力強化のほか、企業ごとの人材開発戦略を構築するコンサルティングも

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