中小企業が取り組むべき人的資本経営とは?
日本企業の時価総額が低いとされる主な理由
日本を代表する企業の中には、世界的に見ても知名度やブランド力、技術力において優れた企業が多数存在します。しかし、時価総額という観点から見ると、アメリカや中国の巨大テック企業(GAFAMなど)に比べて見劣りする傾向があります。この背景には、以下のような複合的な要因が考えられます。
財務戦略と資本効率の低さ
成長戦略とイノベーションの停滞
DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れ
コーポレートガバナンスと株主重視の意識
これらの課題は、過去の成功体験や安定志向、独特の企業文化といった日本企業が長年培ってきた特性と深く結びついています。しかし、近年では、東証によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業への改善要請など、コーポレートガバナンス改革の動きが活発化しており、日本企業の企業価値向上に向けた意識改革が徐々に進みつつあります。
無形資産と有形資産の価値の違い
有形資産とは機械設備等で、無形資産とはノウハウ、データ、ブランド、知財、研究開発、人材をさします。これまでは投資と言えば有形資産でしたが、今後は無形資産が価値を生み出す時代となり、それを生みだすのは全て 「人(人的資本)」であると言えます。
日本企業の時価総額の低さについて触れましたが、その一因に時価総額における無形資産の価値の低さがあげられます。米国企業では無形資産の価値が時価総額の90%ですが、日本企業は約30%と低くなっています。
人的資本経営と価値創造
人的資本経営とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方であり、今後ますます人的資本経営が必要になってきています。
人的資本経営を実践していく上での課題
従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化:54.5%
従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資:39.3%
次世代経営人材の育成:34.5%
経営陣の意識改革やコミットメント:31.6%
組織文化の変革:30.6%
ミドルマネジメント・管理職の強化:30.2%
経営戦略に基づいた人材戦略の実行:28.5%
人事部の機能・役割の見直し:24.9%
ダイバーシティ&インクルージョンの推進:20.6%
人的資本経営と人材マネジメントに関する人事担当者調査:3,007名へのアンケート調査より
資源とみなせば管理する誘惑と必要性に駆られる
資源とみなせば人材への支出はコストとして処理したくなる
資本は適切な環境を整備・提供すると 価値の創造・増殖が起こる
資本は価値が伸び縮みする
人は価値を生み出す存在であり、価値を生み出すにはその源泉である、人のスキル・能力を図り、育て、活用していくことが今後ますます必要になり、それが企業の成長や価値に直結していくと言えます。




