青色申告法人の備え付けるべき帳簿類
(工事の請負の着手日)
指定日の前日までに工事の請負契約を締結したものであれば、施行日前に着手するかどうか、また、その契約に係る対価の全部又は一部を収受しているかどうかにかかわらず適用されることとなります。
(機械設備等の販売に伴う据付工事)
機械設備等の販売契約における一条項として据付工事に関する定めがあり、かつ、その契約においてその据付工事に係る対価の額が合理的に区分されているときは、機械設備等の本体の販売契約とその据付工事に関する契約とに区分して同項の規定を適用することがその取引の実態に適合するものと考えられますから、その契約に基づき行われる据付工事については、工事の請負に係る契約に基づく工事に該当するものとして取り扱われます(経過措置通達12)。
この取扱いは、据付工事部分を「工事の請負に係る契約」に基づくものとして適用対象とするものですから、例えば、その機械設備等の販売契約が指定日以後に締結され、その据付工事が施行日以後に行われたときは、経過措置の適用対象とならないということであり、また、その機械設備等の販売契約が指定日の前日までに締結されたとしても、指定日以後に据付工事に係る対価の額が増額されたときは、その増額部分については経過措置の適用対象になりません。
なお、契約書の名称が「機械販売契約書」等となっていても、その契約内容が機械設備の製造を請け負うものであり、その製造請負の対価が据付工事に係る対価を含んだところで契約されている場合、その契約に基づき行われる機械の製造及び据付工事はその全体についてこの適用対象となります。
工事の請負に係る契約に類する契約として、「測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)」と規定していますが、「その他の請負に係る契約」としては、例えば、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、技術援助、情報の提供に係る契約が、また、「委任その他の請負に類する契約」としては、例えば、検査、検定等の事務処理の委託、市場調査その他の調査に係る契約が考えられます。
なお、改正法附則第5条第3項《工事の請負等に関する税率等の経過措置》に規定する経過措置の適用対象となるのは、これらの契約のうち、仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているなど一定の要件を満たすものに限られます(改正令附則4⑤)から、個々の契約内容により経過措置の適用の有無を判断することになります。
工事の請負に係る契約に類する契約については、「仕事の完成に長期間を要するものであること」が要件とされていますが、これらは仕事の性質上、その仕事が完成するまでに長期間を要するのが通例であり、実際の仕事の完成までの期間の長短については問わないものとして取り扱って差し支えありません。
目的物の引渡しを要しない請負等の契約であっても、例えば、運送、設計、測量などで、その約した役務の全部の完了が一括して行われることとされているものは、「仕事の目的物の引渡しが一括して行われること」の要件を満たすこととなります。
一方で、例えば、月極めの警備保障又はメンテナンス契約のように期間極めの契約の場合には、その約した役務の全部の完了が一括して行われるものではあり「仕事の内容につき相手方の注文が付されている」契約とは、例えば、次のような契約をいい、注文の内容、注文に係る規模の程度及び対価の額の多寡は問いません。
① 請負等の契約に係る目的物の仕様又は規格等について相手方の指示が付されている場合のその契約
② 請負等の契約に係る目的物の原材料を相手方が支給することとされている場合のその契約
③ 修理又は加工等を目的とする請負等の契約
なお、具体的には、次のようなものが該当します。
○ 名入アルバム、名入タオル、名入引出物の製作
○ カップ、トロフィーの名入
○ 絵画、工芸品等の修復
○ 肖像画、胸像等の製作
○ パック旅行の引受け
○ 結婚式、披露宴の引受け
○ インテリアの製作(カーテン、敷物の取付工事を含みます。)
○ どん帳の製作
○ 服、ワイシャツ等の仕立てませんから「仕事の目的物の引渡しが一括して行われること」の要件を満たしません。
なお、次の①、②に掲げるような場合には、請負等の契約に係る目的物の引渡しが部分的に行われるとしても、「仕事の目的物の引渡しが一括して行われること」の要件を満たすこととなります。
① 一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に応じて工事代金等を収入する旨の特約又は慣習がある場合
② 一の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約又は慣習がある場合
「建物の譲渡を受ける者の注文」とは、例えば、次に掲げる区分に応じ、それぞれに掲げるものにつき付される注文をいいます。
① 建物の内装・・・・・・畳、ふすま、障子、戸、扉、壁面、床面、天井等
② 建物の外装・・・・・・玄関、外壁面、屋根等
③ 建物の設備・・・・・・電気設備、給排水又は衛生設備及びガス設備、昇降機設備、冷房、暖房、通風又はボイラー設備等
④ 建物の構造・・・・・・基礎、柱、壁、はり、階段、窓、床、間仕切り等
(注)1 注文の内容、注文に係る規模の程度及び対価の額の多寡は問いません。
2 その注文が壁の色又はドアの形状等の建物の構造に直接影響を与えないものも含まれます。「譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」であることを明らかにする方法としては、次のような方法が考えられます。
① 当該建物の譲渡に係る契約書等において明らかにする。
② 取引の前提条件を示す申込約款等において、いわゆるオプションを受け付ける部分を明示して、どの部分のオプションを受けたのかを申込書等において明らかにする。
「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」平成25年4月 国税庁