貸倒れが発生した場合の消費税額控除の取扱いと経理処理
消費税等の会計処理には、次の2つの方法があります。いずれの方法を選択しても、納付すべき消費税額は同額となります。なお、免税事業者は、税込経理方式によります(消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて 1・5)。
(1)税抜経理方式
消費税額とその消費税に係る取引の対価の額とを区分して経理する方法
(2)税込経理方式
消費税額とその消費税に係る取引の対価の額とを区分しないで経理する方法
(税込経理方式の問題点)
税込経理方式は、税抜経理方式より事務負担は軽減されますが、次のような問題点があり、法人税が過大な納税額となることがあります(消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて 9・11・12)。
(1)期末棚卸資産の評価額が消費税額分だけ過大となるため、当期利益が過大になる。
(2)寄附金の価額が消費税額分だけ過大となるため、損金不算入額が過大になる。
(3)交際費の金額が消費税額分だけ過大となるため、損金不算入額が過大になる。
(4)減価償却資産について消費税額が取得価額に含まれるため、耐用年数に対応する期間で減価償却費として費用化される。
(5)少額減価償却資産等の10万円基準・20万円基準・30万円基準において、消費税額を取得価額に含んだところでの判定となる。
(法人における選択基準)
法人税の課税所得金額の計算に当たり、法人が行う取引に係る消費税等の経理処理については、次によります(消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて 3)。
(1)売上げに係る取引が税込経理方式の場合
すべての取引が税込経理方式
(2)売上げに係る取引が税抜経理方式の場合
(原則)すべての取引が税抜経理方式
(特例)次のいずれかの取引を税込経理方式にすることも可
イ.棚卸資産、固定資産、繰延資産の取得に係る取引
(棚卸資産について、継続適用を条件に固定資産、繰延資産と異なる方式を選択できる)
ロ.販売費・一般管理費等の支出に係る取引
(税込経理方式による場合の益金算入・損金算入時期)
税込経理方式を採用した場合の納付すべき消費税額等の損金算入時期、還付すべき消費税額等の益金算入時期は、次のとおりです(消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて 7・8)。
損金算入時期:申告書提出日の属する事業年度、 更正・決定があった日の属する事業年度
(特例)未払金に損金経理した事業年度
益金算入時期:申告書提出日の属する事業年度、 更正があった日の属する事業年度
(特例)未収入金に収益計上した事業年度