コラム
墓じまい もめたら行政書士に相談するのも手?! 私は、もめない墓じまいをご提案する自信がありますが?!
2018年9月28日 公開 / 2018年11月8日更新
いまや、雑誌や新聞だけでなく、テレビの情報番組でも毎週のように墓じまいが取り上げられています。一般消費者の関心とニーズの高まりの表れであり、お墓じまいに携わる法律専門職の端くれとして、的確かつ正しい情報を発信し続けていかなければならないと身が引き締まる思いです。
ところが、私の墓じまいに対する取り組みをまるであざ笑うかのように、ある雑誌のとんでもないタイトルが目に飛び込んできました。何とそこには、「墓じまいでもめたら行政書士に相談するのも手」とあったのです。
確かに、墓じまいは自分でやってできないことはありません。改葬許可申請手続に必要となる各種の書類は、本人が窓口まで赴けばほとんどの市区町村役場で交付してくれますし、何より専門家に依頼すれば費用がかかる、自分でやれば必要最小限の費用で済むといったことから、自分でやってみようかとお考えになる気持ちは決して分からなくはありません。
しかし、お世話になった菩提寺への感謝の気持ちもそこそこにいきなり墓じまいを持ちかけたら、ご住職はどのようにお感じになられるでしょうか。また、ご先祖様やお墓に対する向き合い方はご親族の皆さんのなかでもそれぞれあるのに、たとえ墓守の立場にある方とはいえ何の説明もなく唐突に「墓じまいをすることにしたから」と一方的な連絡があったら他の親族の皆さんはどう思われるでしょうか。そのようなちょっと配慮に欠ける自分本位な対応をしたらどのような結果を招くか、ちょっと想像してみればわかることではないでしょうか。
ここ数年、お墓じまいに関わるトラブルは確実に増えています。例えば、(1)墓じまいを申し出たが菩提寺の住職から埋蔵証明書の発行に協力してもらえない、(2)高額な離檀料を請求されて困っている、(3)墓地の原状回復をするために石材業者に作業の依頼をしたところ境内への立ち入りを禁じられたため裁判所への申立て・法廷闘争にまで発展してしまった、などの事例が報告されています。これらは、極端な事例だと思われるかもしれませんが、一歩間違えば誰にでも起こりうる危険があるのではないでしょうか。人間関係における軽い気持ちで発した言葉や何気なくとった行動が関係者の感情的な対立を誘発し決定的なトラブルになってしまうように、実はお墓じまいの中でも何気ないたったひとことが決定的なトラブルを引き起こしてしまうことはよくあることなのです。
万一、墓じまいで揉めてしまったら、菩提寺のご住職やご親族の方とのわだかまりを解くための話し合いの場を整えて、お互いの行き違いや誤解を解きほぐす作業を続けるしかありません。これは口で言うのは簡単ですが、時間的にも金銭的にも、さらには精神的にもかなりの負担を強いられるのです。「墓じまいで揉めたら行政書士に相談するのも手」というような無責任なアドバイスは、個人的には「身体に不調がある場合は、とりあえず市販薬を服用しなさい。どうしても治らないようだったら、その時になってから医師の診察を受けなさい」と助言するのと同じくらい無責任かつ無知な対応だと言っても過言ではありません。このような無責任な記事に対しては、個人的には憤りを感じていますが、ぜひとも皆さんにはいい加減な記事に惑わされないでほしい。時間も手間も費用も何倍もかかってしまうばかりか精神的にも大きな負担となることを避けるためにも、もめたら専門家に相談するのではなく、最初の段階から墓じまいに精通した専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。
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墓じまいに関する情報が氾濫している今だからこそ、私たち一般消費者には情報をきちんと分析したうえで自分のものとして取り入れる覚悟と責任が求められているといえるのではないでしょうか。そもそも墓じまいに対してどのように向き合いどのように始めるか、それはもちろんあなた自身が決めることですが、お墓じまいなどしなけばよかったなどと後悔される方をなくしていきたい。
だからこそ、これからも私は、他人の美談に惑わされることなく、お世話になった菩提寺に感謝の気持ちを伝えるとともに、ご親族がわだかまりなくご供養の心を持てるお墓じまいをご提案し続けていきます。
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