【もしもシリーズ第1回】支援型リーダーは組織を救えるか?~小羅 衛門CEOの場合~
はじめに
「現金を早く回収したい」、「支払いを先延ばしにしてキャッシュフローを改善したい」
企業が抱えるニーズに対し、全東信のサービスもBPSPも、「機能」としては似ています。
しかし、その仕組みには大きな違いがあります。第3部は、決済代行とBPSPの違いなどを解説します。
決済代行モデルの構造的欠陥:与信・資金の「抱え込み」
全東信のビジネスモデルが破綻した最大の理由は、「決済代行会社という一民間企業が、自社のバランスシート(貸借対照表)を使って、過度な貸倒リスクと資金調達リスクをすべて抱え込んでいた」点にあります。
全東信は、お金が入る前に、加盟店に対して「借入金」で立替払いを行っていました。これは「決済代行」ではなく、実質的な「ファイナンス」です。全東信1社にすべてのリスクが集中するため、その1社の信用が毀損した(融資が止まった)瞬間に、2万店の加盟店を巻き込んだ、決済システムの連鎖崩壊となりました。
BPSP(請求書カード払い)の場合:与信と決済の分離
これに対して、BPSP(請求書カード払い)は、カード会社が定めたルールに基づいて与信枠が設定されます。
BPSPにおいて、買い手企業に支払い猶予(与信)を与え、万が一買い手企業が倒産した際の貸倒リスクを負うのは、決済代行会社ではなく「クレジットカードを発行しているカード会社(イシュア)」です。
また、BPSPを提供するフィンテック企業はシステムを仲介しているだけであり、自社の借入金で買い手企業の倒産リスクを肩代わりしているわけではありません。倒産リスクは、カードを発行しているカード会社・銀行が負うことになります。
決済代行モデル vs BPSP
両者の構造の違いを、以下の表にまとめます。
| リスクの要素 | 決済代行モデル | BPSP |
|---|---|---|
| 立替資金の原資(出所) | 決済代行会社自身の借入・調達 | カード発行会社(イシュア)の与信枠 |
| 与信(貸倒)リスクの負担者 | 決済代行会社が負担 | カード会社・銀行が負担 |
| 資金の流れ | 代行会社の社内口座を経由 | カード会社の規程に基づき処理 |
| 事業者破綻時の影響 | 加盟店への未払い(焦げ付き)が発生し、連鎖倒産を誘発 | 決済データはカード会社が保護 |
| コンプライアンス・審査 | 代行会社独自の基準 | カード会社による与信審査 |
まとめ
投資もそうですが、財務において、「リスクを1社に集中させない」というのは鉄則です。全東信は、自社の資本力を遥かに超える与信リスクを借入金でレバレッジをかけて回していたため、一つのきっかけ(コンプライアンス違反)であっという間に倒産となりました。
一方、BPSPは、カード会社による与信審査とテック企業が提供する決済インフラというように、与信と決済機能が分離されています。
第4部では、BPSPをどのように自社の戦略に組み込むべきか、活用方法について解説します。



