【第1部】毎月勤労統計を解き明かす~経営者が知っておくべき基礎知識とマクロ動向~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です 。
前回は年金法改正を取り上げました。その流れから、今回は「iDeCo+」について取り上げます。
はじめに
近年、採用では「給与水準」だけでなく、長期的に安心して働ける「福利厚生の充実」も求職者の重要な選択基準となっています。
しかし、本格的な企業年金をゼロから構築しようとすると、煩雑な規約作成や長期的な運営リスクが重くのしかかります。
そこで注目したいのが、従業員が個人で加入するiDeCoに、会社が上乗せ拠出を行える「iDeCo+」です。第1部では、この制度の仕組みと法改正について整理します。
手軽に導入できる「簡易型企業年金」の仕組み
iDeCo+は、企業年金を導入していない従業員300人以下の企業を対象とした制度です。最大のメリットは、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と比較した際の手続の簡便さにあります。
1.規約作成や複雑な承認プロセスが不要
導入のハードルが低く、届出のみでスピーディーな立ち上げが可能です。
2.金融機関の一括管理の手間が不要
企業が特定の金融機関と一括で運営管理契約を結ぶ必要がなく、従業員はそれぞれが選んで加入・手続きを進められます。
3.柔軟な上乗せ設計
従業員が設定した掛金に対して、企業が柔軟に事業主掛金を上乗せすることで老後の資産形成を支援できます。
以下の表に示す通り、企業型DCと比較しても企業にとってハードルは低いです。
| 比較項目 | iDeCo+(イデコプラス) | 企業型確定拠出年金(企業型DC) |
|---|---|---|
| 年金規約の作成 | 不要(届出のみ) | 必要(厚生労働省の承認) |
| 従業員規模要件 | 300人以下の中小企業限定 | 制限なし |
| 手続きの主体 | 従業員が直接手続き | 会社の一括管理・契約が必要 |
利便性とメリットがさらに拡大する「法改正」
国は公的年金を補完する仕組みとして私的年金の拡充を推進しており 、近年の法改正によってiDeCo+の魅力はさらに高まっています。
1.2024年12月改正による事務負担の激減
2024年12月の改正により、これまで企業の人事・総務担当者が手間と感じていた「従業員の加入・転職時における事業主証明書の発行」や、「年1回の現況確認手続き」が廃止されました。
これにより、会社側の定期的な事務手続きは原則不要となり、運用の負担が軽減されました。
2.2026年12月予定の拠出限度額拡充
令和7年度年金制度改正法により、2027年1月引き落し分から企業年金のない会社員のiDeCo拠出限度額が、月額23,000円→62,000円へと大幅に引き上げられます。
また、加入可能年齢も現行の65歳未満から70歳未満へと拡大されます。
これは、定年延長や高齢者再雇用を進める企業にとって、従業員のエンゲージメントを維持する強力な武器になります。
まとめ
第1部では、iDeCo+が「手続きが簡易な中小企業向けの企業年金」であり 、直近の法改正によってさらに使いやすく 、より手厚い上乗せが可能になることを確認しました。
第2部では、実際に運用する観点から、「労使合意のステップとトラブルを防ぐ制度設計」と、「制度設計における不利益変更のリスク」について解説します。


