【もしもシリーズ第5回】冷静すぎる技術者は信頼を築けるか? ~出来田 秀才CTOの場合~
はじめに
第2部では、テレワークにおける「労働時間の管理」や「評価の難しさ」、財務面でのコストについて解説しました。
第3部では、これらの課題を未然に防ぎ、円滑なテレワーク運用を行うために必要な「就業規則(テレワーク勤務規程)の作成ポイント」と「費用負担のルール」について考察します。
就業規則(テレワーク勤務規程)に盛り込むべきポイント
テレワークを運用する際、就業規則とは別に「テレワーク勤務規程」を独立して作成することをおすすめします。曖昧な口頭約束は、労使トラブルの原因になります。
規程に盛り込むべきポイントは以下の3点です。
1. 対象者の明確化と「出社命令権」の明示
「入社○年以上の社員」「自宅に適切な執務環境がある者」など、客観的な申請・許可基準を明記します。
さらに重要なのが、「業務上の必要性がある場合、会社は出社を命じることができる(週○日は出社日とする等)」という会社側の指揮命令権・出社命令権を明記しておくことです。
これがないと、出社回帰やハイブリッド運用への移行時に、「在宅勤務の権利」を主張され、トラブルになるケースがあります。
2. 労働時間管理と「中抜け時間」の取り扱い
勤怠報告の方法(クラウド勤怠システム打刻、メール報告等)をルール化します。
また、業務中に一時的に離脱する「中抜け時間」について、明確に規定する必要があります。
パターンA(時間繰り下げ)
中抜け時間を休憩時間とし、その分終業時刻を繰り下げる
パターンB(時間単位年休)
中抜け時間を時間単位の年次有給休暇として処理する
パターンC(控除)
中抜け時間分の給与を控除する
3. 自宅での安全衛生チェック
厚生労働省が提示する「自宅等における作業環境確認チェックリスト」等を活用し、照明(300ルクス以上推奨)、机・椅子の配置、換気状態などを労働者自身に確認・申告させる規定を設けます。
通信費・光熱費の「費用負担」はどうする?
労働基準法第89条により、「労働者に作業用品、通信費等の費用負担をさせる場合」は、就業規則に規定しなければならないと定められています。
在宅勤務での通信費や電気代はプライベートとの切り分けが難しいため、実務上は以下の2つの方法があります。
在宅勤務手当(定額支給)
月額3,000〜5,000円程度を「在宅勤務手当」として一律支給する。事務処理が簡便で、従業員の納得感も得られやすい。
実費精算方式
業務で使用した通信費や電気代の一定割合を計算して支給する。但し、計算が複雑。
一律の通勤手当(定期代)を「実費精算」に変更し、浮いた資金を「在宅勤務手当」に充当することで、キャッシュフローへの影響を抑えた制度設計にすることが可能です。
まとめ
第3部では、テレワークを運用するための規程整備と費用負担ルールについて解説しました。
【今回のポイント】
- 会社の実情に合わせて「テレワーク勤務規程」を必ず作成する
- トラブルを防ぐため、「出社命令権」や「中抜け時間の扱い」を明記する
- 通信費等の負担ルールは、通勤手当等との見直しで財務最適化を図る
第4部は、テレワークが財務評価に与える影響と働き方の構築について解説します。
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