【第1部】65歳超雇用推進助成金の拡充~制度の概要と改正の背景~
はじめに
第1部、第2部を通じて、法改正の内容や財務・労務への影響について整理しました。
第3部では、改正や影響を踏まえて「具体的に何をするべきか」を、「短期・中期・長期」の3つの時間軸で整理します。
【短期対策:2026年度】まずは「守り」と「正確な公表」
1.データ整備と試算の実施
給与システムから正確なデータを抽出する体制を確立します 。
公表前に試算を行い、他社や業界平均と比較した自社の状況を把握します 。
2.差異に対する説明
単に数字だけを出しては効果がありません。「なぜそうなのか」を説明する必要があります。「勤続年数の差」や「配置による違い」など、差異がある理由を論理的に説明します 。
「現在は〇%だが、〇年後までに〇%を目指し、そのためにこの施策を行う」という前向きな姿勢を、従業員や金融機関などに示します 。
3.公表方法の決定と実施
公表の期限は、事業年度終了後おおむね3か月以内です。
公表方法は、「 女性の活躍推進企業データベース」での公表が推奨されています。
【中期対策:1~3年】取り組む内容の整理と実施
1.キャリア形成支援と「えるぼし」取得を見据えた取り組み
若手女性社員向けの研修や、女性管理職によるメンター制度導入を検討します。
えるぼし認定を取得し、両立支援等助成金などの申請や金利優遇の調達をあわせて検討します。
2.柔軟な働き方の「制度化」
在宅、時差出勤、短時間正社員制度など、ライフイベントに左右されない選択肢や、子の看護休暇、リフレッシュ休暇などの充実により、仕事と家庭の両立しやすい環境作りを整備します。
3.男女間賃金差異の要因分析と改善
雇用形態などの構造的要因と評価や異動などによる制度的要因に分けて分析し、差異の真因を把握し、評価基準の明確化や職務給制度の導入など公平で透明な評価制度の導入を検討します。
【長期対策:3~10年】「生産性向上」と「企業文化」の両立
1.業務プロセスの標準化とDX
属人的な業務を排除し、誰でも代替可能な状態にすることで生産性向上を図ります。
2. 投資対効果(ROI)の測定
「女性活躍への支出」を、採用コストの削減額や離職率の低下、定着した社員が生み出す収益と対比させ、経営指標として定量的に評価します。
3.多様な働き方の実現
リモートワーク、副業・兼業の容認、短時間正社員制度の導入などにより、従業員にとって働きやすい環境を作り、結果として組織全体のパフォーマンス向上を目指します。
推進にあたって
女性活躍の推進は、計算式の確認から就業規則改定、企業の風土改革まで多岐にわたります 。
【労務の視点】 法令遵守と、社員の納得感を得るための制度構築
【財務の視点】 企業の取り組みをいかに評価し、資金調達や企業価値向上へ結びつけるか
この両輪を回すことで、改正を単なる「負担」ではなく、「強み」に変えることができます。そのためには、どのような対策が効果的かを、状況によってはそれぞれの専門家と相談しながら進める必要があります。
まとめ
女性活躍推進法の改正は、企業にとって負担であると同時に、働く環境を見直し、組織を強化する絶好の機会でもあります。人口減少が進む日本において、性別に関わらず誰もが能力を発揮できる環境を整備することは、企業の競争力を高める重要な経営戦略です。
現状の数値と向き合う(データ整備)
数値の背景を言葉にする(説明責任)
多様性を前提とした働き方にシフトする(組織強化)
これらを見つめ直し、見直すことで、前回のコラムで取り上げた高齢者や女性が活躍できる環境が整備され、より強い組織作りにつなげる事が出来ると思います。
マネジスタ湘南社労士事務所は財務、労務に関する相談を承ります。
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