説明的文章の要約とは?
みなさん、こんにちは。
「オンライン学習塾 啓理学舎」の代表の篠田です。
さて、今回は、「一文要約 〜要約文作成前の基礎練習〜」についてお話をさせていただきます。
これは、説明的文章の要約文作成するための基礎練習になります。
「一文要約」をマスターされている方は、このコラム飛ばしていただいても構いません。
状況に応じてお読みください。
それでは、頑張っていきましょう!
一文要約の必要性
長い説明的文章も一文一文のかたまりです。
文章全体の内容を理解することはもちろん重要ですが、一文一文を理解できなければ、全体を読み取ることはできません。
ですから、一文をしっかりと理解し、要約できるようにならないと、文章全体を要約することは不可能です。
まずは、一文要約をできるようになりましょう!
「主語と述語のみの要約文」と「主部と述部の要約文」
一文要約には、2通りの方法があります。
それは、「主語と述語のみの要約文」と「主部と述部の要約文」です。
「主語と述語のみの要約文」とは、文字通り主語と述語のみの要約文で、骨組みだけの要約文になります。
この要約文は意味がとりづらい場合があります。
「主部と述部の要約文」とは、主語と述語の前の一文節を加えたものを「主部」と「述部」と言い、それをつなげたものです。
意味がわかりやすい要約文です。
それでは、例を出して説明いたします。
例文)雨が降る中、ずぶ濡れになった小さな野良猫が、こちらにやって来た。
この文の述語は「来た」、主語は「野良猫が」です。
この主語と述語をつなげると、「野良猫が来た。」となり、これで「主語と述語のみ要約文」の完成です。
しかし、この要約文は、骨組みだけであるため、意味がわかりにくいことが多いです。
主語と述語の前の一文節を加えたものを、主部と述部と言いましたが、それぞれ、「小さい野良猫が」と「やって来た」となります。
それらをつなげると、「小さい野良猫がやって来た。」となります。
これが、「主部と述部の要約文」です。
「主語と述語のみ要約文」より、意味がわかりやすくなったと思います。
それでは次に、「主語と述語のみの要約文」と「主部と述部の要約文」の作り方についてまとめておきます、
「主語と述語のみの要約文」のつくり方
①一文を文節に分解します。
②述語から見つけ、それから主語を見つけます。
主語を見つけるときの注意で点ですが、
述語が、「人間の感情や行動」の場合は「誰か」を探し、
述語が、「それ以外」の場合は「何が」を探します。
③主語と述語をつなげれば、完成です。
「主部と述部の要約文」のつくり方
①と②は「主語と述語のみの要約文」と同じです。
③主語と述語の前の一文節をそれぞれ加えます。
④主部と述部をつなげれば、完成です。
一文を簡単にする
それでは、次の一文を要約してみましょう。
問題1)
次の文を10字以内で要約しなさい。
「母は、大切なシャーペンをなくしたと言って泣いている僕をなぐさめた。」
解説1)
この文の述語は「なぐさめた」、主語は「母は」です。
そして、「大切なシャーペンをなくしたと言って泣いている」は、「僕」を修飾しています。
つまり、具体的な内容なので、省略可能な部分です。
また、10字以内で要約をしなければいけないため、「なぐさめた」、「母は」、「僕」を残して、
「母は僕をなぐさめた。」(10字)
となります。
もう一つ問題をやってみましょう!
問題2)
次の文を15字以内で要約しなさい。
「ビルの展望台から両親といっしょにながめた街の夜景は、きっと一生の思い出になるだろう。」
この文の述語は「なるだろう」、主語は「夜景は」です。
また、「ビルの展望台から両親といっしょにながめた」は「街の夜景」を修飾、「きっと一生の」は、「思い出」を修飾しています。
つまり、省略可能な部分です。
そして、主語「夜景は」と述語「なるだろう」だけでは、よくわからないため、「街の夜景」と「思い出」を追加すると、
「街の夜景は思い出になるだろう。」(15字)
となります。
まとめ
「一文を簡単にする」の基本は、「主語」と「述語」を見つけて、字数に合わせて追加していくことで要約文をつくっていくことです。
指示語の内容をまとめる
名詞化
「指示語の内容をまとめる」の前に、名詞化の練習をしておきましょう!
これは、指示語の内容を答える上で重要なポイントとなります。
では、次の問題をやってみてください。
問題1)
次の文を、文の最後が「電車」「駅」になるように書きかえなさい。
「電車が駅に到着した。」
⑴( )電車。
⑵( )駅。
では、解答を示します。
⑴(駅に到着した)電車。
元の文の主語「電車」が最後に来た場合は、単純に入れ替えればOKです。
⑵(電車が到着した)駅。
元の文の「駅」は「到着した」の修飾語であるから、解答の「駅」の前に「到着した」を入れることになります。
問題2)
次の文を、文の最後が「兄」「動画」「お菓子」になるように書きかえなさい。
兄は動画をお菓子を食べながら見ていた。
⑴( )兄。
⑵( )動画。
⑶( )お菓子。
解説2)
では、解答を示します。
⑴(動画をお菓子を食べながら見ていた)兄。
元の文の主語「兄」が最後に来た場合は、単純に入れ替えればOKです。
⑵(お菓子を食べながら兄が見ていた)動画。
元の文の「動画を」は「見ていた」を修飾しているため、解答の「動画」の前に「見ていた」を入れます。
そして、「見ていた」のは「兄」だから、「見ていた」の前に「兄が」を入れます。
残りの「お菓子を食べながら」をその前に入れます。
⑶(動画を見ながら兄が食べていた)お菓子。
元の文の「食べてながら」は「お菓子」を修飾しているため、解答の「お菓子」の前に「食べてながら」を入れたいところですが、それでは意味が通らないため、「食べていた」とします。
「食べていた」のは「兄」なので、その前に「兄が」を入れます。
残りの「動画」は「見ていた」を修飾、「見ていた」は「兄」を修飾しているので、「動画を見ていた」を「兄」の前に入れたいところですが、解答の文が少し変になるので「動画を見ながら」とします。
指示語の内容をまとめる
説明的文章を要約する場合、指示語をそのまま書くことはありません。
必ず指示語は、その指示語がさしている内容に言いかえます。
ですから、要約するにあたり、指示語の内容を正確に理解することはとても大切です。
ここでは、指示語を正確に言いかえる方法をご説明いたします。では、次の問題をやってみてください。
問題1)各文の 線部を一文で書き変えなさい。ただし、指示語「それ」が意味する内容をできる限り詳しく書くこと。
携帯電話が故障してしまった。それを修理してもらうため、携帯ショップへ行った。
「それ」は一言で言えば、「携帯電話」です。
そして、この「携帯電話」は「故障してしまった」とあるから、「それ」の内容は「故障してしまった携帯電話」となります。
よって、答えは、
「故障してしまった携帯電話を修理してもらうため、携帯ショップへ行った。」
です。
二文を一文にまとめる
一文を要約できたところで、抽象度を変えずに、二文を一文にまとめる練習をしていきます。
次の2つの例文を一文にまとめます。
例文①)「横浜の両親から宅配便が届いた。」
例文②)「それには、レトルトカレーとカップラーメンが入っていた。」
この2文を①または、②を中心に一文にまとめていきます、
例文①を中心にまとめていくと、
例文①の主語は「宅配便が」、述語は「届いた」なので、①を中心にまとめた文の述語は「届いた」となり、文の最後に来ます。
例文②の主語は「レトルトカレーとカップラーメンが」、述語は「入っていた」、指示語「それ」は「宅配便」となり、「宅配便」の中に入っていたのは「レトルトカレーとカップラーメン」になるので、「レトルトカレーとカップラーメンが入っていた宅配便」となります。
一文にまとめると、
「横浜の両親からレトルトカレーとカップラーメンが入った宅配便が届いた。」
となります。
例文②を中心にまとめていくと、
②を中心にまとめた文の述語は「入っていた」で、文の最後に来ます。
指示語「それ」は「宅配便」であり、その「宅配便」を修飾するのが、「横浜の両親から」と「届いた」になるため、「横浜の両親から届いた宅配便」となります。
一文にまとめると、
「横浜の両親から届いた宅配便にはレトルトカレーとカップラーメンが入っていた。」
となります。
ここがマスターしないと、説明的文章の要約文は書けません。
しっかりマスターしましょう!
マスターしたら、次の「キーワード/キーセンテンスを見つける ~要約文作成前の前準備〜」にいきましょう!