「平成31(2019)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説

皆さん、こんにちは。
国語専門オンライン学習塾「啓理学舎」の篠田です。
今回は、
「中学入試国語で、なぜ詩の読解を学ぶのか」
についてお話しします。
中学入試の国語というと、多くの方が「説明文」や「物語文」を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際、中学入試で「詩」が出題される学校は、それほど多くありません。
それにもかかわらず、啓理学舎では「詩の読解」を大切にしています。
なぜでしょうか。
それは、詩を読むために必要な力が、説明文や物語文を読む力にも直結するからです。
目次
中学入試で「詩」を出題する学校は多くない
中学入試国語では、「詩」を出題する中学校は決して多くありません。
比較的よく詩を出題する学校としては、関東では筑波大学附属駒場中学校、関西では灘中学校などが知られています。
その他にも、年度によって詩が出題される学校があります。
では、なぜ詩は入試問題としてあまり出題されないのでしょうか。
その理由の一つは、詩の問題を作成することが難しいからだと考えられます。
入試問題には、当然ながら「正解」が必要です。
そして、その正解には、ある程度の客観性が求められます。
ところが詩は、短い言葉の中に多くの意味が込められています。
一つの言葉や表現から、さまざまなイメージを広げることもできます。
そのため、
・詩の内容を正確に読み取る
・問題を作る
・多くの人が納得できる模範解答を作る
という作業には、かなりの難しさがあります。
つまり、入試問題として詩を出題する学校は、受験生に対して、より深い言葉の読み取りを求めているとも言えるでしょう。
「詩は苦手」という受験生が多い理由

中学入試では詩の出題が比較的少ないため、進学塾でも詩を十分に学ぶ機会がないことがあります。
そのため、受験生の中には、
「詩は何となく難しい」
「どう読めばいいかわからない」
「答えが一つに決まらないような気がする」
と感じるお子さんも少なくありません。
しかし、入試問題として出題される詩は、単に「自由に感想を述べる」ものではありません。
もちろん詩を楽しむためには、一人ひとりが自由に感じることも大切です。
しかし、入試国語として詩を読む場合には、本文の言葉に基づいて、その詩が何を表しているのかを考える必要があります。
つまり、詩にも読解のための「手がかり」があるのです。
詩の読解で最も大切な力「言いかえる力」
では、詩を読むときには、どのような力が必要なのでしょうか。
その中心となるのが、
「言いかえる力」
です。
詩には、比喩や象徴的な表現が多く使われています。
たとえば、詩の中に、
「心に雨が降る」
という表現があったとします。
実際に心の中に雨が降っているわけではありません。
この表現を読んだとき、
「これは、どういう状態を表しているのだろう?」と考える必要があります。
例えば、
・悲しい気持ち
・つらい気持ち
・心が沈んでいる状態
など、その表現が示している意味を、よりわかりやすい言葉に置き換えて考えます。
これが、
「具体的(比喩的)な表現を、わかりやすい言葉に言いかえる」
ということです。
詩の読解は「感性」だけではない
「詩の読解には特別な感性やセンスが必要なのでは?」
このように考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、中学入試の詩の読解では、必ずしも特別な感性だけが求められるわけではありません。
大切なのは、
詩の中に書かれている言葉を手がかりにして、その意味を論理的に考えることです。
つまり、
「何となくそう思った」
ではなく、
「この表現があるから、このように考えられる」
という読み方をしていきます。
詩は、短い言葉の中に独自の論理を持っています。
その論理を一つひとつ探し出し、
「この表現は、普通の言葉で言うとどういうことなのか」
を考えていく。
ある意味では、詩の読解は、言葉を使ったパズルを解く作業にも似ています。
「言いかえる力」は、詩だけに必要な力ではない
ここが、最も大切なポイントです。
詩の読解で身につける「言いかえる力」は、詩だけで使う力ではありません。
中学入試国語では、次のような問題が数多く出題されます。
・「~とはどういう意味ですか?」
・「~とはどういうことですか?」
・「このときの人物の気持ちを説明しなさい」
これらの問題を解くためにも、
本文の表現を、そのまま繰り返すのではなく、意味を理解して別の言葉で説明する力が必要になります。
例えば、説明的文章では、難しい表現を、よりわかりやすい言葉に言いかえる力が必要です。
また、文学的文章では、人物の行動や表情を手がかりにして、その人物の気持ちを言葉にする力が必要です。
つまり、
詩の読解で鍛える「言いかえる力」は、説明文にも物語文にも必要な、国語読解の基本的な力なのです。
だからこそ、詩の読解は良い訓練になる
詩は、説明文や物語文と比べると、文字数が少ないという特徴があります。
しかし、その短い文章の中には、
・比喩
・象徴
・情景
・心情
・作者の考え
など、多くの内容が凝縮されています。
だからこそ、一つひとつの言葉を丁寧に読み、
「この表現は何を意味しているのか」
「別の言葉で言うと、どういうことなのか」
を考える必要があります。
短い文章だからこそ、集中して読むことができます。
そして、一つの詩を何度も読み返しながら、
「言葉を正確に読み取る力」
「比喩を理解する力」
「内容をわかりやすく言いかえる力」
を集中的に鍛えることができます。
まとめ 詩を読むことは、国語全体の読解力を高める

中学入試では、詩を出題する学校は多くありません。
しかし、だからといって、詩の読解を学ぶ必要がないわけではありません。
むしろ詩の読解には、国語の読解力を伸ばすための大切な要素が詰まっています。
特に重要なのは、
「表現を別の言葉に言いかえる力」
です。
この力は、
・詩の読解
・説明的文章の読解
・文学的文章の読解
・記述問題
など、国語のさまざまな場面で必要になります。
詩を読むことは、単に「詩の問題を解けるようになるため」だけの勉強ではありません。
短い文章の中に込められた意味を丁寧に読み取り、自分の言葉で説明する力を身につけるための訓練でもあるのです。
「詩は難しそう」
「何となく苦手」
と思っているお子さんこそ、ぜひ一度、じっくりと詩の読解に取り組んでみてください。
一つひとつの言葉を手がかりにしながら、
「これは普通の言葉で言うと、どういう意味だろう?」
と考えていく。
その積み重ねが、やがて説明文や物語文を深く読み取る力につながっていきます。
啓理学舎では、詩の読解を通して、単なる「解き方」ではなく、国語全体に応用できる本質的な読解力を育てていきたいと考えています。


