未経験者だからこそ“続ける”ことが信頼になる。日繰り表が育てる家族経営の経理の土台(家族経営の経理コーチング⑫)
年末は、会社のお金がもっとも動く季節です。賞与、仕入れ、支払い、在庫の整理など、普段より資金の流れが複雑になります。この時期に思い浮かぶ資金調達策が銀行融資・ABL(動産・債権担保融資)・ファクタリングの3つです。いずれも「お金を得る仕組み」ではありますが、仕組みも負担もまったく異なります。違いを理解し、慎重に判断することが、家族経営にとって大切な視点です。
銀行融資
最も基本的で、信頼度の高い資金調達です。長期の運転資金や設備投資に向いていますが、次のような注意点があります。
・審査に時間がかかる
・決算が悪いと融資が難しい
・担保や保証人を求められる場合がある
・他の借入とのバランスを厳しく見られる
堅実な方法ですが、即時性には欠けます。
ABL(動産・債権担保融資)
売掛金や在庫など「動く資産」を担保にする仕組みです。担保対象の幅が広く、柔軟な資金調達が可能な一方で、以下のような手間があります。
・在庫や売掛金の内容を定期的に報告する必要がある
・譲渡登記などの手続きが必要になることがある
・短期資金が中心で、長期安定には不向き
・既存の金融機関への説明が求められる場合もある
手続きが多い分、透明性を保った運用が重要です。
ファクタリング
売掛金を“売却”して現金化する方法です。スピードが早く、即資金化できる反面、負担が重い手段でもあります。
・手数料が高い(5〜20%前後)
・取引先への通知が必要な場合がある
・継続利用で資金繰りが不安定化する
・銀行や取引先に懸念を持たれることがある
短期的な応急処置にはなりますが、長期運営には慎重さが必要です。
経営状態を把握する「日繰り」と「見える化」
資金調達を検討する前に、まずは自社の数字を正しく知ることが何より重要です。日々の入出金を把握するために「日繰り表(日々の資金予定表)」をつけてみましょう。Excelでも、会計ソフトでも構いません。最近では freee会計 などのクラウドツールを使えば、経理が未経験でも簡単に「自計化」が進められます。売掛金や在庫の動きをリアルタイムで確認できるため、資金の“詰まり”や“余裕”が見えるようになります。また、在庫管理も大切な要素です。どの商品に資金が寝ているかを知ることができれば、在庫を現金化する判断や仕入れのコントロールがしやすくなります。
まとめ:数字を整え、冬を乗り切る
資金の波は、経営のリズムです。山も谷もありますが、数字を見えるようにしておけば、慌てることはありません。経営には相手があり、市場があり、季節があります。その変化の中で、数字を整えながら自社のリズムをつくることこそが、家族経営のいちばんの強みです。焦らず、惑わず、数字で語る。寒さの中でも、確かな経営のぬくもりを感じながら――この冬を、しっかりと乗り切っていきましょう。
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