それでも100%ではない、という話 【連載:どこに相談しても「難しい」と言われた経営者のために/第6回・最終回】
先日、東京ビッグサイトで開催されたバックオフィス系の展示会に足を運びました。AIエージェント、AI経理、経営とAI——どのセミナー会場も満席で、今の関心の高さがうかがえました。
その中で聴講した講演の中で、強く残った一言があります。
「資料はいくらでも出る。それっぽいものは出る。だけど、話せない。」
AIは、それっぽい分析レポートを何枚でも作れます。しかし、その資料を前にして「で、うちはどうすればいいのか」に答えること——数字の背景にある現場の事情を読み取り、次の一手につなげることは、資料の枚数では埋まりません。
なぜなら、「数字を作ること」と「会社を良くすること」は、違う からです。
試算表や決算書という資料は、いわば道具です。社長が本当に欲しいのは、資料そのものではありません。「今月、思い切って人を採っていいのか」「この借入、このペースで返して大丈夫か」——迷っていたことが決められるようになる、という変化です。
試算表がきちんと出ている。決算書も期限内にできている。それでも会社が良くならないとしたら、資料の量や精度ではなく、数字が意思決定につながっていないことが原因かもしれません。
たとえば「売掛金回転期間が0.3ヶ月悪化しています」という報告は、簿記の世界では正確でも、社長も現場も動けません。同じ事実を「大口のお客さんの入金が、先月から10日遅れ始めています」と伝えれば、営業は動けます。数字と現場がつながった瞬間に、初めて次の一手が見えてきます。
AIが数字を作る時代だからこそ、その数字を経営の言葉に翻訳できるかどうかが、これからの会社の差になっていくはずです。
——続きでは、AIの「上流」と「下流」で人に残る役割について、もう少し詳しく書いています。よろしければ自社サイトのコラムもご覧ください。
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