売り手3万件、買い手29万件──M&Aプラットフォームが映す「中小企業のリアル」

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(しごと編)

ここ数年で、中小企業でも「M&A」「事業承継」といった言葉を耳にする機会が増えました。実際、国内の某M&Aプラットフォームには数万件規模の“売りたい会社”と、それを上回る数十万件の“買いたい会社”が登録されています。数字だけ見ると「すぐにマッチしそうだ」と思われがちですが、現場にいると必ずしもそうはなりません。今回は、この“数字の差”が示している中小企業の課題を、再生・経営改善の視点で整理してみます。

数字だけ見ると「売り手不足・買い手余り」


プラットフォーム上では、売り手が数万件、買い手がその10倍近くいる──そんな構図がよく見られます。本来なら「売りたい会社が出てきたら、すぐ買い手が見つかる」はずです。しかし現実には、掲載されたまま動かない案件が一定数あります。なぜか。ここに中小企業特有の事情が隠れています。

“売れない”のではなく“整っていない”


私が再生や事業引継ぎの現場で感じるのは、「その会社が悪いから売れない」のではなく、「買い手が判断できるところまで情報が整っていない」ケースが多いということです。月次試算表が最新化されていない、在庫の実在と帳簿が合っていない、資金繰りの先行きが見えない…。これでは、いくらプラットフォームに載せても、買い手側が一歩踏み出せません。つまり“掲載前の磨き上げ”が抜け落ちているのです。

小さな会社こそ「対話で数字をつくる」


家族経営や10名規模の会社では、社長の頭の中にしか答えがないことがよくあります。「あのお客さんは来期も続く」「この原価は来月下げられる」といった前向きな話です。ところが、外部に見せるときにはそれを数字に翻訳しなければなりません。ここで有効なのが、私が行っているビジネスストレングスコーチング(BSC)のような“数字をつくるための対話”です。社長と一緒に試算表や在庫、資金繰りを月次で見直し、「この会社はこう立て直せる・伸ばせる」を可視化していきます。すると、同じ会社でも“買ってもらえる会社”に近づきます。

M&Aは「すぐ売る」だけが目的ではない


プラットフォームを眺めていると、どうしても「載せる=売る」「買う=すぐ統合」と考えがちです。しかし小さな会社の場合、①いったん経営を立て直す→②選択肢としてM&Aや引継ぎを検討する、という二段階のほうがうまくいきます。再生・事業改善を先に入れておけば、価格の妥当性も説明しやすく、買い手も安心できます。つまり、M&Aの仕組みは“出口”として持っておきつつ、その手前の“整える部分”を自社でできるようにしておく――これが今の中小企業にいちばん現実的な使い方です。

まとめ


中小企業のM&Aは、仕組みがあるかどうかよりも「会社の中身が説明できるかどうか」で結果が変わります。プラットフォームに載っている数字を“社会の鏡”として眺めつつ、自社の試算表・在庫・資金繰りを月次で見えるようにしていくことが、結局は一番の価値向上策です。

平岡商店では、M&Aを目的にした一時的な資料づくりではなく、「毎月数字を見て経営を強くする」ためのコーチング型支援(ビジネスストレングスコーチング)をご提供しています。「掲載しても動かないと言われた」「事業承継センターには話したが踏み込めていない」という方は、一度“整えるほう”から考えてみてはいかがでしょうか?

お薦めコラム


同じような悩みを感じた方へ。

事業承継、後継者、数字の見える化など、関連するコラムもまとめています。

特集:事業承継・経営改善 

支援事例集


支援事例集 

これまでの支援事例をご紹介しています。

「これ、うちにも近いかもしれない」と感じる事例があるかもしれません。

「何から整理したら良いか迷ったら」


そんな時は、家族経営向けのカンタン経営診断もご利用ください。

▼平岡商店カンタン経営診断

動画でもご紹介しています

▼平岡商店YouTubeチャンネル 売上はあるのに不安な会社の共通点


よくあるご質問はこちら


相談というと、きちんと資料を揃えたり、悩みを整理してからでないといけないと思われる方もいます。

でも実際には、「何となく不安」「数字がよく分からない」「このままでよいのか確認したい」という段階からで大丈夫です。平岡商店では、ご相談前によくいただく質問をまとめたページを公開しています。初回相談の流れや、資料の準備、オンライン相談、現地訪問の対応地域などを確認いただけます。

▼平岡商店WEBサイト「よくあるご質問(Q&A)

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

平岡誠司プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

小規模事業者の“頼れる世話役”的経営コンサルタント

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ神奈川
  3. 神奈川のビジネス
  4. 神奈川の経営改善・資金繰り
  5. 平岡誠司
  6. コラム一覧
  7. 売り手3万件、買い手29万件──M&Aプラットフォームが映す「中小企業のリアル」

平岡誠司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼