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シンプルな生薬エキスの逸話

佐藤宣幸

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テーマ:薬剤師が推奨しているサプリメント

《二至丸の纏わる逸話》

明代の末期、安徽の有名な医者である汪汝桂は子供の頃から、ひ弱な体質で大人になっても痩せて元気がなく病気がちでした。
しかし、とても頭が良い人で詩や歴史などに造詣が深く勉学に優れ父親に大変愛されていました。
その父親が重病になってしまい亡くなる直前に、「良相になることより、むしろ良医になるべき」と遺言しました。
その為、汪汝桂は、医学の研究に取り組む事になりました。
時間の経過と共に彼の医療技術は上達し、知名度も高くなりました。
ところが、勉学に打ち込み過ぎて過労になり、40歳にもならないうちに、白髪、めまい、頭のふらつき、目がかすむ、倦怠感、早老傾向などの症状がたくさん出てきました。
ある年の夏、汪汝桂は生徒たちを連れて山に生薬を採集しに行きました。
寺に宿泊したとき、百歳を超えているのにもかかわらず「耳鳴や目のかすみもなく髪も黒々として早く歩ける」という老住職に出会いました。
長寿の秘訣を聞いたら、この住職は寺の庭にある『女貞』という樹を指しながら、「『女貞の実=女貞子(ジョテイシ)』を蜂蜜とお酒に混ぜてから、蒸して食べると良い」と答えました。
汪汝桂は様々な調査をし『女貞子』の効能をよく理解しました。
そして相乗効果を狙って、もう一種類の肝腎の陰を強く補う『旱蓮草』を加える事にしました。
『旱蓮草』の汁を煮詰めて膏にして、『女貞子』の末を混ぜると『二至丸』が出来上がりました。
先ず、二至丸を2ヶ月飲んでみたところ大変効果があると感じました。
その後、更に半年以上飲み続けたところ、弱かった体質が丈夫になって、白髪、めまい、頭のふらつき、目がかすむ、倦怠感、早老傾向などの症状も改善し心身共に強くなり、意欲的になったそうです。
数年後、汪汝桂は往診のため、浙江麗水に寄って、同郷の親しい仲間である汪昂の家に立ち寄りました。
汪昂は汪汝桂のつるつるの肌や、丈夫な体を見て大変驚きました。
そして、その健康の秘訣が二至丸だと知りました。
汪昂は金持ちで、酒色に耽る事が多く運動不足もあり、肝腎陰虚が進行し、早老傾向がありました。
汪昂は汪汝桂の体が強くなった事に学び早速二至丸を飲み始めました。
そして半年後、汪昂は驚くほど健康で、頑丈になりました。
一方、汪昂は漢方医学に傾注し、日頃、是非歴史に残る大仕事をしたいという野心を抱いていました。
そこで、汪昂は汪汝桂を高賃金で招聘し、医書の編纂を始めました。
汪汝桂が4年間一生懸命頑張った結果、4部の医書が完成しました。
『女貞子』・『旱蓮草』各等量の処方で肝腎不足に治療効果が高いという実例は《医方集解》という本に汪昂の名で収録され、処方は二至丸と命名されたのです。
※二至丸の応用範囲
☆四肢の火照り ☆口渇過多 ☆下肢がだるい、力が入らない ☆フラフラする ☆眼がかすむ ☆不眠 ☆夢が多い
☆若白髪 ☆不正出血 ☆更年期障害 ☆自律神経失調症 ☆高血圧 ☆糖尿病 ☆ドライアイ(眼の乾燥)
☆シェーグレン症候群なと゜に最適な漢方薬と併用をお奨めします。

《医方集解》


※薬剤師に成り立て、漢方を研鑽していた時(昭和54年頃)、東京で買ったもの。
もうポロポロですが、今も私や息子が読んでいます。

《現代の二至丸=二至丹》


イスクラ 二至丹
※二至丹・・360粒 税込価格=4.320円

※日本では健康食品として『二至丹』と言う名前で漢方専門薬局で薬剤師が推奨販売しています。
成分は生薬『女貞子(ジョテイシ)』・『旱蓮草(カンレンソウ)』、そうです『二至丸』の成分と同じ生薬が配合されています。

※『杞菊地黄丸』・『瀉火補腎丸』・『天王補心丹』などの漢方薬との併用を当薬局では推奨しています。
詳しくは当薬局の薬剤師陣にお訊き下さい。

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佐藤宣幸
専門家

佐藤宣幸(薬剤師)

有限会社 すみれ漢方施薬院薬局

薬剤師の知識の上に、臨床検査技師の知識を重ねた指導ができるのが強み。健康相談にも力を入れていて、訪れる人の多くは食生活の改善をしながら漢方薬を服用すると健康になる場合が多くあります。

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