四十肩?五十肩?肩の痛みが治らない原因は胸の筋肉に|大胸筋筋痛症の施術事例
レントゲンを撮っても異常はないと言われたのに、痛みやしびれが確かにある……。こういったケースを、これまで数多く伺ってきました。検査で異常が見つからないことと、原因がないことは、まったく別の話です。
先日当院にご来院されたのは、40代の会社員女性でした。デスクワーク中心のお仕事をされながら、月に3回ほどピラティスに通われるなど、健康への意識は高い方でしたが、それでも、次の2つのお悩みを抱えておられました。
・腰痛(前かがみがほとんどできない急性の状態)
・左胸から脇にかけてのビリビリしたしびれ(半年前から継続)
今回は、この40代女性の症例を通じて、レントゲンでは分からない腰痛としびれの理由をお伝えします。
腰痛は「ソファーでの寝落ち」がきっかけ
腰痛は、朝起きたときに突然始まったそうです。前夜、ソファーで寝落ちしてしまい、不自然な姿勢のまま長時間眠ってしまったことがきっかけと考えられました。
痛みの出方は、動き始めに痛む、前かがみになれない、安静にしていても痛む、という状態でした。特に前屈動作がほとんどできず、日常生活の動作そのものに支障が出ていました。
しびれは半年前から、病院では「異常なし」
一方、左胸から脇にかけてのビリビリしたしびれは、半年前から続いていました。整形外科でレントゲン検査やリハビリを受けられましたが異常は見つからず、パソコン作業を続けると症状が現れる状態が続いていたそうです。
長時間のデスクワークのたびに不快感が繰り返される。この「原因が分からないまま我慢する」状況そのものが、大きな負担になっていました。
腰痛だけでなく、病院で異常がないと言われたしびれについても相談できる鍼灸院を探しておられたところ、当院を見つけてご来院くださいました。
初回の検査で見えてきたこと
初回のカウンセリングと検査では、腰を支える多裂筋(たれつきん)の強い緊張が認められました。多裂筋は背骨を安定させる深部の筋肉で、急性腰痛の原因になることが少なくありません。
また、胸から脇にかけてのしびれについては、肩から背中に広がる広背筋(こうはいきん)の緊張が関係していると考えました。
東洋医学的な所見も合わせて評価したうえで、次の施術を組み合わせて行いました。
・腰や肩周囲の筋緊張を和らげる施術
・自律神経のバランスを整える施術
・必要に応じた置鍼(鍼を一定時間留めて筋肉を緩める方法)
計4回の施術経過
こうした施術方針のもと、実際の経過は次のようになりました。
【初回】前屈時の腰痛が消失しました。しびれを誘発する姿勢をとっても症状が現れなくなり、良好な変化が確認できました。
【2回目】腰痛はさらに軽減。ただしピラティス後に臀部痛が出現し、肩周囲の痛みは前胸部から脇へ移動していました。
【3回目】腰痛が一時的に再燃しました。歩行時の痛みはなく、安静時痛と動き始めの痛みに対して、筋肉の緊張を和らげるための置鍼を追加しています。
【4回目】腰痛はほぼ寛解。残っていた右肩前面の痛みと、首を左へ向けた際の痛みに対して、首の深部筋である斜角筋(しゃかくきん)へ置鍼を行い、頚肩部の筋緊張と自律神経への施術を継続しました。
施術で特に工夫した点
画像検査で異常が見つからなくても、筋肉の緊張や姿勢によって症状が起こることは珍しくありません。今回、私が重視したのは次の4点です。
・腰痛だけを見るのではなく、全身の筋肉のつながりを評価したこと
・仕事中の姿勢や生活習慣を詳しく確認したこと
・症状の変化に合わせて施術部位を変更したこと
・自律神経のバランスにも配慮したこと
一度症状が改善しても、活動量が増えることで再び痛みが出ることがあります。だからこそ、経過に応じて施術内容を柔軟に調整していくことが大切だと考えています。
「また痛くなったら」という不安が、軽くなるまで
4回の施術を通じて、腰痛は寛解し、前屈動作も改善しました。途中で再燃した際も、比較的短期間で回復するという経過をたどっています。
胸から脇にかけてのしびれも施術直後から改善がみられ、その後は肩から首に残る筋緊張に対する施術へ移行しました。
患者様は、初回から前屈ができるようになったことを大変喜んでおられました。特に印象的だったのは、症状が一度再燃したときです。以前より早く回復できたことで、「また痛くなったらどうしよう」という不安が軽くなっていく様子が伝わってきました。
腰痛が落ち着いた後も、残っていた首や肩の不調を改善するために、継続して施術を受けておられます。
「検査で異常はありません」と言われても、症状がある以上、その原因がまったくないというわけではありません。
今回のように、長時間のデスクワーク、不自然な寝姿勢、筋肉の緊張、姿勢のクセなど、こうした要因が重なることで、痛みやしびれが起こることがあります。
急性腰痛は早めに対応することで改善しやすくなりますし、長引くしびれも筋肉や姿勢が関係しているケースがあります。
まとめ
検査で異常が見つからなくても、筋肉の緊張や姿勢が症状の原因になっていることがあります。原因がはっきりしない痛みやしびれこそ、からだ全体の状態を確認することが改善への近道だと私は考えています。
・病院で「異常なし」と言われたが症状が続いている方
・朝起きたら急に腰が痛くなり、前かがみになれない方
・デスクワーク中に手や胸、脇のしびれが出る方
・一度良くなってもすぐに痛みがぶり返してしまう方
腰痛やしびれでお困りのことがあれば、トキの森鍼灸院まで、まずはお気軽にご相談ください。初診時のカウンセリングで今のお身体の状態を明確にし、できることをご説明いたします。
※本症例は一例であり、すべての方に同じ経過や結果を保証するものではありません。強い痛みが続く場合や、しびれの範囲が広がる場合は、自己判断で様子を見ずに医療機関にご相談ください。


