脊柱管狭窄症の太もも痛が軽減、79歳女性の鍼灸施術5回の経過
【主訴】
熟眠障害(ぐっすり眠れない)、多夢(夢を多く見る)、中途覚醒、ブレインフォグ
【お悩みの内容】
1年半前に新型コロナウイルス感染後から、頭がもやもやする感じ(ブレインフォグ)と熟眠感の不足が続いている。
夢を多く見て覚えており、起床時にすっきりしない。仕事(客室乗務員)での興奮やストレスがあると睡眠が浅くなる。
【年齢】
20代女性
【性別】
女性
【病院での診断】
明確な器質的疾患の診断はなし。
心療内科にて処方あり(覚醒系の薬で改善感はあるが根本的改善はなし)。
【これまでの経過】
2024年10月初診。
コロナ感染後遺症様の症状として、熟眠障害・多夢・倦怠感・ブレインフォグを認めた。
当初10回の施術では、易疲労感や頭のもやもやは軽減したが、睡眠の質は大きな改善なし。
2025年1月以降、施術内容を調整しながら経過観察。
春頃より昼間の眠気が減少し、起床時のすっきり感が出始める。
6月頃には「よく眠れている」との自覚が出てくるが、朝方の多夢は継続。
8月に治療方針を再構築。貧血既往を踏まえ「肝血虚(かんけっきょ)」と判断。
※肝血虚とは、東洋医学で血の不足により自律神経が不安定になる状態。
秋以降、夢の頻度が徐々に減少し、睡眠は安定。
ただしストレスが強い時期(接客業・試験前)には再燃しやすい。
2026年1月、試験ストレスにより睡眠浅くなり下痢が1週間続く。
【鍼灸院としての見立て】
東洋医学的に以下の病態と判断:
心腎不交(しんじんふこう)
→ 心(精神活動)と腎(生命エネルギー)の連携が弱くなり不眠を起こす状態
心肝血虚(しんかんけっきょ)
→ 脳と自律神経を養う血が不足し、夢が多くなる
副交感神経機能低下
→ リラックス神経が弱く、眠りが浅い
ベースは腎虚(生命エネルギーの不足)に、コロナ後の上咽頭炎の影響が重なっていると考察。
【施術方針】
自律神経の安定(副交感神経を高める)
心・肝・腎の血を補う(養血安神)
上咽頭炎へのアプローチ
ストレス時の再燃予防
段階に応じて治療方針を調整。
【施術内容】
初期(2024年10月~2025年1月)
自律神経調整目的の置鍼
頭部低周波鍼通電療法
失眠穴への直接灸
理気(気の巡りを整える)治療
※この時期はブレインフォグと倦怠感は改善するも、睡眠は停滞。
中期(2025年2月~6月)
三陰交・失眠への自宅灸指導
頸部・腰部の置鍼へ変更(副交感神経を高める目的)
低周波鍼を一時中止
→ 徐々に昼間の眠気減少
→ 起床時のすっきり感が出現
再構築期(2025年8月以降)
肝血虚として施術図を全面変更
復溜・太衝・太淵・百会・安眠などで養血安神
心兪・肝兪・腎兪への置鍼
湧泉への灸
神門・内関へパイオネックス(円皮鍼)貼付
→ 明らかに夢の頻度減少
→ 熟眠感向上
安定期(2025年10月~12月)
神門・内関への円皮鍼継続
箱灸による補腎・補心
肩こりなど随伴症状へ局所置鍼
→ 睡眠安定
→ 夢の減少
再燃期(2026年1月)
試験ストレスで睡眠浅化・下痢出現
ストレス性自律神経失調として再調整
長期症例として、
「改善 → ストレスで揺らぐ → 体質が安定していく」
という経過をたどっている。
【施術回数・頻度・期間】
初診:2024年10月
施術期間:約1年3か月
初期:週1回
中期以降:2週に1回
現在:体調に応じて調整
総施術回数:約30回以上
【施術後のケア】
三陰交・失眠への自宅灸
睡眠時間の確保
夢日記の記録(精神的整理)
ストレス時の早期来院
「ストレスで揺らぐ不眠に対する段階的鍼灸治療」
「1年以上続いた熟眠障害が体質改善により安定した症例」


