<歯科医師が解説>なかなか治らないベロのヒリヒリは口内炎?舌痛症は何科を受診?
1.口内炎、口の渇きや舌の痛みに効く漢方があります
近頃はむし歯や歯周病による歯痛や歯茎の腫れなどの症状ではなく、繰り返しできる口内炎、ヒリヒリとした舌の痛み(舌痛症:ぜっつうしょう)、口の中のネバつき、乾燥感などの不快症状(ドライマウス)を訴え、歯科や口腔外科を受診する患者さんが増えて参りました。こうした患者さんは耳鼻咽喉科や内科でも増えてきているようです。
舌先、べロのピリピリ・・・舌痛症をご存知ですか?
繰り返しできる口内炎やドライマウス、舌痛症では、これらの症状の原因として複合的な要因が考えられるケースが多く、原因がハッキリ特定できないことも珍しくありません。そのため診断、治療に難渋するケースも多いのが実情です。
また、これらの患者さんでは、口の中の粘膜の色調や表面の性状に見た目の異常が無く、炎症や傷がなくても「ベロの痛み+口の中の渇き」とか、「口の中のネバつき+のどの違和感」とか、到底1つの原因や病気では起こりえない複数個の不快症状を訴えることが多く、それらの症状の一つ一つに対して飲み薬や軟膏、うがい薬を処方すると薬だけで膨大な量になってしまう場合もあります。
口の中がネバネバ、ヒリヒリ・・・口腔乾燥症をご存知ですか?
2.漢方薬と西洋医学の薬剤との違い
そんな時に、口の中だけではなく体調全般を改善することで、困っている症状についても、結果として改善していこうとするのが漢方薬なんです。漢方薬は複数の生薬が絶妙なバランスで配合されていますから、基本的に飲んでいただくのは1種類のみです。従って薬の量や薬代も減らすことができます。
病気とは呼べない舌痛症やドライマウスなどの口の中の不快な症状・・・これらを軽快、緩和する有効性が認められている漢方薬が実は沢山があるんです。
漢方薬は元々、西洋医学の薬剤とは異なり、「この症状には○○○」というように症状によって薬が決まるわけではありません。患者さんの体調、体質、体格によって、同じ症状でも用いる薬が異なります。逆に同じ漢方薬でも、Aさんには肩こりの薬として働き、Bさんには風邪薬として用いることも普通にあることです。
3.いくつかの漢方薬は歯科でも健康保険の適応
歯科・口腔外科の領域では7種類の漢方薬(ツムラなどのエキス顆粒)が健康保険で処方できます。
1.立効散(りっこうさん) :歯痛、抜歯後疼痛など
2.半夏潟心湯(はんげしゃしんとう):口内炎、胃炎、胸やけ、二日酔いなど
3.黄連湯(おうれんとう):口臭、口角炎、口内炎、胃炎など
4.菌蔯蒿湯(いんちんこうとう):口内炎、便秘、じんましん、肝硬変など
5.五苓散(ごれいさん):口腔乾燥、頭痛、めまい、下痢など
6.白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう):口腔乾燥、ほてりなど
7.排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう):歯周病、中耳炎、ちくのう、痔ろうなど
前述のように、漢方は症状や病名によって使う薬が決まる訳ではありません。上記に記載している病名=使用用途はあくまでも「健康保険のルール上ではそういうことになっている・・・」というだけです。
例えば口内炎の患者さんであれば、2.半夏潟心湯、3.黄連湯、4.菌蔯蒿湯のいずれかであれば健康保険が適応されるため、薬代が安く済みます。ただし、その患者さんにこの3つが合っていない場合もありますし、保険診療で認められていないお薬が適合している場合は、残念ながら保険外(自費)になってしまいます。ただ、漢方のエキス顆粒は1日あたりの薬代が80円ぐらいから高い物でも200円程度ですから、極端な費用がかかってしまうことはないかと思います。
ちなみに私のクリニックでは、保険診療で認められていないお薬が適合している場合は、どの漢方薬でも下記の費用でお薬をお出ししています。
7日分(ツムラエキス顆粒21包)=1,620円
14日分(ツムラエキス顆粒42包)=3,240円
口内炎の原因と治療、予防について
いろいろな病院、診療科を回って、薬もいろいろ試したけど症状が改善しないという方、口内炎やドライマウスが治らない方は、大きな副作用の心配が比較的少ない漢方薬を試してみてはいかがでしょうか?
<Dent. DHの方で、ご質問、ご追加がある方はお気軽にメールもしくはfacebookからご連絡下さい>
つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
つくばオーラルケアクリニック http://www.tsukuba-occ.com/
facebookページ http://www.facebook.com/tsukuba.occ