日本語と英語の背景文化の違いについて~亀田先生の講義より
本田圭佑選手がイタリアで1月8日に行った、ACミラン入団会見をご覧になった方も多いと思います。
"Welcome KEISUKE"と、彼の横顔と背番号10を組み合わせたデザインの横断幕の前で、堂々たる英語での会見でした。イタリア人記者からの質問の数々に、まっすぐに正面を向いて、迷うことなく、時にはユーモアを交えて答える彼の姿に、カッコイイ!としびれてしまった私です。
http://www.youtube.com/watch?v=VDyt2zACca0
3月8日付産経新聞に、論説委員の千野境子氏による「英語教育は本田圭佑選手に学べ」という記事が掲載されました。千野氏も「日本人の英語で最近、感心したのがサッカー、ホンダ圭佑選手のACミラン入団会見だった。単語は中学校程度でも、(中略)応対が揺るぎなく、まさにサムライを感じさせた。」と書いています。さらに、次の指摘に私はやっぱりなぁ、と思いました。
「ところが驚いたのは、ネット上の感想に『本田はサムライに会ったことがないという表現に現在形を使っていたが、現在完了形が正しいのではないか』との疑問が真っ先に上がっていたことだ。受験英語の弊害の見事な見本である。」とあります。私がYouTubeから拾った彼の実際の表現は、次の通りです。質問は、「サムライのスピリットとはどんなものか」でした。
"I never meet Samurai - (笑いがあちこちで起きる、本田選手ニヤリとしながら間を置く)So I don't know that is true. (また間、そして真剣な顔になって) I think Japanese men is never give up, (間)and strong mentality and we have good discipline. So I think I have too. Just I want to show the sprit on the pitch."
私が感心したのは、間の取り方が抜群なこと、そして場の雰囲気を自分のものにする、彼の自信に満ちた態度です。時制に現在形を使おうが、複数形の主語に単数の動詞を使おうが、些細な事でしかありません。彼の強い眼差しと、ゆっくりながら明瞭な発音と言葉の選び方、真摯な態度は、最強のコミュニケーション・スキルであり、居合わせた人を魅了しました。プロのサッカー選手としての意識の高さが、それを可能にするのです。
「イタリアで身につけたいことは何か」という質問に対しては、次のように力強く答えました。
"I feel you expect a lot. So, I know I have to show. (中略)I will do my best and I will give some special things for the team. I will do my best."
彼を迎えてくれたチームのためにスペシャルなことをやってみせるという、責任感と決意が充分に伝わる言葉です。
こうして、10分以上にわたる会見の間、英語での質問は1・2問で、あとはイタリア語でした。彼はそれを耳につけたイヤホンで聞きながら、通訳を介さずに、すべて自力で英語で答えました。「あー」とか「うー」とか、言葉につまることは一度もありませんでした。しかも、記者たちの笑いを何度もとりながら、です。ユーモアを交えて聴衆にウケる、笑いをとる、というのはスピーチにおいて、最も高度なテクニックです。それを外国語でとなると、至難の業に近いものです。
千野氏の次の分析に私も全く同感です。
「私は多くの人が英語の必要性を得心していないのだと思う。最大公約数は受験のためかもしれない。しかしサッカーで世界を目指した本田選手は自ら必要性を確信した。必要は英語の母、である。」
文法の間違いが云々という人たちに、あの入団会見と同じような緊迫した空気の中で、本田選手と同じ事ができますか、と聞きたいものです。
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