デイビッド・セイン著「日本人のちょっとヘンな英語」について考える~その2
大手企業による2015年3月に卒業する大学生の採用活動が、いよいよ明日12月1日に解禁されます。新卒大学生の内定率は昨年、ごくわずかながら回復の兆しを見せたようです。今年はどんな具合でしょうか。
さて、アメリカでミレニアル世代と呼ばれる現代の学生たちは、厳しい就職難に直面しています。 "unemployability”「雇ってもらえない条件」とでも訳しましょうか。その理由の分析を前回、ニューズウィーク誌から抜粋してお届けしました。今日は、学生たち本人に対する厳しい意見をタイムズ紙からご紹介します。
ここで言うunemployabilityとなるのはどんな要素でしょうか。よく言われるように、今の大学生は簡単な計算ができないから?SMSは使っていても専門家としての十分なハイテク知識がないから?科学に無知だから?どれももっともな理由に思えますが、本当の理由は実はずっと単純なことなのです。彼らは、時間通りにきちんとした服装で面接に来る、たったそれだけの当たり前の事ができないと言われています。
職探しをする学生ばかりでなく、こうした学生を雇う側もまた厳しい現実に直面しています。正社員として雇ってもらおうと待ち構えている新卒者が、職場でのイロハを全く理解していないというのです。ある調査によると、企業が求めるのはteam playersであり problem solversであることがわかりました。
そのために不可欠とも言える“communication and interpersonal skills”「コミュニケーションと対人関係のスキル」が応募者たちに欠如していると感じている雇用者は6割以上に上っています。(セントルイス・コミュニティ・カレッジの調査による)これは過去2年間で1割増です。管理職の多くは、今の応募者たちは批評力や創造力がなく、問題解決ができず、書くことも下手だと言います。実際、コンピュータースキルなどの技術面の知識はさほど問題にはならないようです。
問題の一つは、「何がわからないのかがわからない」ということです。調査では、学生の自分たちの能力に対する認識と、管理職の彼らへの認識の間には非常なずれがあることが明らかになりました。どの学生も自分は社会人への準備が完璧にできているとは思っていませんが、管理職が思っているよりはるかに自分に自信を持っています。
一方で、権威ある人たちと話をする能力、仕事に優先順位をつけ、順序だててこなす能力、様々なメンバーから成るチームで協力して働く能力、学生たちのこういった能力に対して管理職たちは甚だ疑問視しています。
専門家はこういったスキルは教えるのがむずかしいのだと言いますが、そういった訓練を可能にするのがインターンシップです。8割以上の雇用者が正式なインターンシップを学生時代に経験した者を雇いたいとしています。ところが、学生の中で専門分野でのインターンシップに相当な時間を費やした者はたったの8%に過ぎません。課外活動で彼らが精を出したことと言えば、友達と過ごし、専門とは無関係のアルバイトをして外食することぐらいです。平均すると新卒のうち社会人になる準備ができていると自ら思う者は半数に過ぎません。それさえも雇用側から見ると4割に満たないという辛口の評価になっています。
日本でも同様のことはよく言われています。あるコンサルティング会社の採用担当マネジャーによると「組織の仕事はチームワークが大切。採用するからには、チームで共に働きたいと思える人物でないといけない。」communication and interpersonal skillsを備えたteam playersが欲しいのは世界共通ですね。
原文はこちらです。構成上、原文より抜粋引用した部分の順序を入れ替えました。
新卒が雇ってもらえない本当の理由"The Real Reason New College Grads Can’t Get Hired"
By Martha C. White Nov. 10, 2013
http://business.time.com/2013/11/10/the-real-reason-new-college-grads-cant-get-hired/
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