『経営者のためのビジネス英語レッスン』実施中!
2007年に最初のスマートフォンが発売されて以来、消費者をアッと言わせるような革新的な電子機器はしばらく出てきていませんでした。私はこの分野の産業でビジネス英語の研修を幸運にも担当させていただいていますが、先日次のヒット商品について話し合う機会がありました。
最有力候補と思われるのが3Dプリンターです。3Dプリンターは、コンピューターのデータを基に、紙に印刷するような感覚で樹脂や金属などを塗り重ねて立体物を作り出すものです。理論的には、固体であればサングラス、おもちゃ、くつ、洋服など何でも作ることができます。銃だって複製できてしまいます。
日本では、今年5月に経済産業省が産業技術総合研究所やシーメット、群栄化学工業など12社に対し、鋳造用砂型を作成できる3Dプリンターの開発を委託しました。そして8月には、次世代3Dプリンターの開発プロジェクトにかかる経費として45億円を盛り込みました。
産業用のもので価格は約US1200ドルと高価ですが、他のハイテク機器と同様、開発が進むに連れてどんどん値下がりしていくでしょう。製造業でも非製造業でも、可能性は無限に広がるように思われる3Dプリンターですが、現時点では機能が限られており、しかも完成にとても時間がかかります。消費者が最新の機器に求めるのは、速くて便利でカッコいい商品です。スマートフォンやタブレットはこうした要求を満たしているので、あれだけの大ヒットとなったと考えられます。
一般向け商品としての3Dプリンターに欠けているのは“Value Proposition”「顧客側からみた利用価値」です。自分達が画期的な新製品を開発したいから作って売る、というのではなく顧客のニーズを考え、困っている事への解決策としての製品を売る、という考え方がビジネスには不可欠です。現在、組み立て式のキットであれば700ドルほどで入手できるようです(日本へも発送可)が、これが消費者のどんなニーズに対応するのでしょうか。時間をかけて組み立てたあと、作るのがフィギュアとなると・・誰かが書いていましたが「大人の工作」の域を出ないのでは?