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受講生の方から、会議やプレゼンテーションで相手の英語が速すぎてわからなかったとよく聞きます。実は、私も英語を母国語としない人と話す時に同じように感じることがあります。早口で話すことが流暢さだと勘違いしているせいではないでしょうか。
英語を話すときの、適切な速さとはどのくらいでしょうか?教育心理学の雑誌で興味深い記事を見つけたので、ご紹介します。これはミシシッピ州立大学で行われた、講義での話すスピードとその効果に対する調査結果です。一つは理解度、もう一つは主題の重要度という二つの要因で分析したものです。
調査方法を説明する前に、少し補足しておきます。まず、「話す速度」は1分あたりの語数(WORDS PER MINUTE:wpm)で測定されます。大学の講義では、通常100から180wpmです。
「聴解率」とは、学生が講義に問題なくついていける速度で、150から175wpmです。学生がノートを取るのに適した速度は、135wpmが限界です。
さて、この調査がどんな風に行われたかと言いますと、対象グループは二つに分けられます。講義の録音テープを聞くグループと、講義のビデオテープを見るグループで、それぞれが異なった速度の講義を聞きます。結果は、反比例となりました。理解度が一番高かったのは、速度が100wpmのグループで、一番低かったのは200wpmのグループでした。 つまり、話す速度がゆっくりなほど理解度が高くなり、テーマの重要性もよく伝わる、ということです。逆に言うと、早口になるとそれだけ聞き手の理解度やテーマの重要性は低くなっていきます。
そんなことは当然だと思われるかも知れません。しかし、実はこれと矛盾する事実も存在するのです。
-よく知っているテーマの時には、この相関関係は逆になります。例えば、テレビで自動車や電化製品などみんなが知っている商品の広告の場合、話す速度が速いほど聞き手に与えるインパクトは強くなります。既に知っていることをゆっくり繰り返さずとも、キーポイントとなる新しい情報だけを強調すればいいのです。価格や新型モデルの特徴などがそうです。その他の前から変わらない情報をゆっくり話すと聞き手は飽きて途中で聞くのをやめてしまいます。
-ある話題の中で、新しい情報を伝えようとするときはその部分をかなりゆっくり話すほうが効果的です。それは、聞き手が情報を取り込み、理解し、記憶するのに時間がかかるからです。
では、ビジネスシーンで英語を話す時に最適な速度とはどのくらいでしょう?会議やプレゼンテーションでも、状況によってそれは変わってきます。
・100wpm - 新規提案、重要な情報、新しい情報
・130~160wpm - 出席者が既知の話題
また、英語が母語でない人を交える場合や電話会議では、100wpmが一番良いでしょう。それでは時間がかかってしょうがないという反論もあるでしょう。しかし、重要なポイントがあいまいになったり、混乱が生じたりしてその結果会議をやり直さなくてはならないようでは、意味がありません。
効果的に話すには、内容によって速度を変えながら、明瞭で簡潔に話すようにしましょう。
わかりやすいように、話す速度を変えて実際に実験してみました。クリックしてご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=i96AvMEd01s