コラム
これぞ京都のお家芸、そんなところから作るの? ~ お雛様見本市① 2014年度版 ~
2013年6月22日 公開 / 2014年8月1日更新
見本市で見てきた「素敵な作品」、「印象的な作品」、「職人のこだわり」などを載せていきます。
※画像は尊正(たかまさ)さんの工房たちばな彌ホームページより
今回は京都のこだわり抜いた雛職人「尊正」さんです。
長年、京都の大手雛工房で勤められた方で、数年前に独立しこだわり抜いた雛の制作をされております。
工房によって異なりますが、通常雛人形の制作には何人かの職人さんが分業で裁断、裏張り、縫製、衣紋制作、重ね制作、着付けなどを行います。
なんと!尊正さんはその工程を一人で制作をされてます。
↑画像の男性は尊正さんの女房役をされている、山田さんです。
(手前のふとっちょは、わたくし江戸でございます(笑))
工房は尊正さんと山田さんの二人だけです。驚きです。
もともと呉服業界の悉皆屋(しっかいや・着物の制作は分業制の為、各職人をまとめ指揮をとる仕事)をされていた山田さん、いろんなことを教えて頂きながら感じるのは、色の知識、生地の知識、衣装の合わせ方、人形業界ではトップクラスです。
一般的なお人形制作には生地専門のメーカーから生地を仕入れ制作されます。
山田さんがすごいのは、人が着る着物同様の工程で、雛人形の為に生地を一から染上げます。
更に、その染め上げた生地に刺繍、手描き絵(金彩(きんさい)、金泥(きんでい))などを施していきます。
一色一色の色にもこだわっていますので、それぞれの生地の色に奥行きを感じます。
また、各職人(着物関係の職人)への的確で細やかなデザイン指示により、「色をもっと深くしたい」、「ここに一輪、花の柄を足したい」、「この部分だけアクセントで刺繍を入れたいと」など自由自在です。
そんなこだわり抜いた生地を今度は、雛職人の尊正さんにバトンタッチされ、量産型のお雛様には絶対に出せない風合いのお人形を制作されています。
山田さんは尊正さんにお人形を作る際「ええ生地使うからには生地の風合いを活かして」とお願いしているようです。
一般的なお雛様の生地の裏には成型するため「クラフト紙」や「和紙」などが充てられます。
しかし、生地の風合いを生かすということで裏張りには形を整えにくい薄い不織布(ふしょくふ)を使用しています。
↑2013年度ご販売させて頂いた「天目染め 手描き正倉院柄」
形を整えにくい不織布を使用しているにもかかわらず、左右袖のバランス、重ねの合わせ方、全体の比率、美しいです。
しかも、生地の「しなやかさ」が生きており、なんとも自然な風合いを出しています。
尊正さんの技術力です。
いろいろ、勉強させて頂くうちに熱く語る山田さん。
生地のスペシャリストです。
そのスペシャリストから美しい生地をバトンタッチされ、こだわり抜いたお雛様を制作される尊正さん。
京都が生み出すゴールデンコンビです(笑)。
今年も素敵なお雛様が入荷予定です。入荷次第コラムにてご案内♪
今しばらくお待ちくださいませ。
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