ひな人形、五月人形の素晴らしさを伝える神戸の老舗人形店

人形選びのプロ

江戸唐音

#chapter1

子どもの健やかな成長を願う節句を彩るひな人形や五月人形

　神戸市中央区にある人形専門店の「福順号」。1928年に商いを始め、1938年に現在の名前を屋号として掲げて以来約80年にわたり、ひな人形や五月人形、羽子板、破魔弓など、節句やお正月といった日本の伝統的な行事を祝う商品を取りそろえる老舗として歴史を刻んできました。

「節句は、子どもの健やかな成長を願う行事。親が子どもを思う気持ちは今も昔も変わることがありません。初節句をお祝いするためにひな人形や五月人形を求めて足を運んでくださる方がたくさんおられます」と話すのは、同店の代表・江戸唐音さん。

　節句の慣習にこだわる人も多く、例えばひな人形に関しては「いつ買えばいいの？」「男親と女親のどちらが買うの？」という質問をよく受けるそうです。

「港町の神戸は多種多様な文化が混ざり合っているので、これが正しいという答えがなかなかありません。それゆえ、お客さまがお住まいの地域や習慣に合わせたアドバイスをさせていただいています」と江戸さん。

「お客さまから『どれがよく売れているの？』『これとこれの値段の違いは、どうしてなの？』『どうやって片付けて保存すればいいの？』といったご質問も多くいただきます。お子さんやお孫さんなど、ご家族のために良いものを選びたいというお客さまの気持ちになり、わかりやすく、納得してもらえる説明ができるように心がけています」と笑顔で話します。

#chapter2

人形作りの奥の深さや人形作家の思いやこだわりを伝えたい

　江戸さんが父である先代から店を継いだのは2002年のとき。それまでは全く人形に縁がなく、商品の特徴や値段による違いも、さっぱりわからなかったとか。

「あるとき、お客さまから人形に関する質問を受けて答えることができず、悔しい思いをしました。そのときに商品知識の必要性を実感し、書物やパソコンなどで人形について調べるようになりました。そこから人形作りの難しさや奥の深さを知り、人形に対する興味がどんどん強くなっていきました」と当時を振り返ります。

　人形の違いとは、一言でいうとメーカーや作家、それぞれの「こだわり」の違い。綿の入れ方、腕の曲げ方、胸元の形、素材など、その「こだわり」の違いを知るだけでも人形に対する見方が変わってきます。またコストダウンに徹している作家もいれば、見えないところの素材にまでこだわる作家もいて、それが人形の価格の差となっています。

「お客さまによっては、『安かろう悪かろう』という感覚で人形を見る方もいらっしゃいます。しかし、それぞれのメーカーさんや作り手さんが研究と工夫を重ねて作ったものなので、まずはどの人形も『いい人形』だと思って見て回ってください。そして、お買いになる際はそれぞれの『こだわり』を理解して、納得のいく価格でお選びください、とアドバイスしています」

　そう話す江戸さんから人形を愛する気持ち、本当に気に入ったものを納得して選んでもらいたいという熱意が伝わってきます。

#chapter3

人形や道具、屏風などを選んで自分好みオリジナルひなセットを

　江戸さんは、プライベートでは人形と離れた生活をしているのかと思いきや「趣味も人形です」と即答。

　人形に対する知識欲は衰えることを知らないようです。「旧知の人形教室の先生は『本当に良いものは説明がなくても伝わってくる』とおっしゃっています。そこまで名匠の境地に達したお人形はすごいと思います。当店でも見ていただくだけで作り手の『こだわり』がビビッと伝わってくるような商品をそろえていきたいと思います」

　江戸さんは、匠の技に敬意の念を払いつつも、接客するときはあくまでも「お客さま目線」を大切にしています。

「お客さまが人形に興味を持ってもらえる説明だけでなく、オリジナルのひなセットを組むことができるのも当店の特徴です。人形や道具、屏風（びょうぶ）などを選んで自分好みのひなセットにすることができます」

　高い買い物だけに納得した商品を選びたい。桃や端午の節句を通じて、日本の古き良き伝統を次の世代につなぎたい。福順号はそんな人の気持ちに寄り添った人形店です。

（取材年月：2019年1月）

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人形選びのプロ

江戸唐音プロ

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福順号

「どう選べばいい？」「価格の違いは？」「片付ける時の大きさは？」「流行りは？」など、全ての「？」を取り除きます。職人の「こだわり」を分かりやすくご案内し、人形選びの楽しさをお伝え致します。

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