性善説の教育は愛の心から、性悪説の教育は子どもを支配したいエゴから生まれる
子どもの教育については昔から二つの見方があります。
一つは子どもは本来善なるもので愛情や安心感を与えていれば自然と良くなっていくとする「性善説」。もう一つは子どもは放っておいたら怠け者になってしまうと考える「性悪説」です。
性善説から自由や主体性が、性悪説から管理強制が生まれる
「性善説」に立てば子どもを過度に管理したり強制したりすることなく、子どもの自由や主体性を尊重する教育になります。
わかりやすく言えば「子どもを信頼し子どもの自主性に任せていく」教育です。
自由で親と子が平等な民主的な教育のあり方です。
「性悪説」に立てば、子どもは放っておいたら怠けるばかり遊んでばかりで良いことはないと考えるので、厳しく管理し、必要なことは嫌がっても強制して教え込む教育になります。
それは「親や教師が上に立って厳しく管理強制する」教育です。
上下関係を重視し子どもを従わせる教育のあり方です。
それでもなくならない性悪説の教育
このように見れば性善説の教育の方が優れていることは明白です。
実際、大学で習う教育学は「性善説」に立っています。
そして歴史上の教育関係の偉人は全部「性善説」の教育者です。
ところが実際の教育現場においては事情が異なります。
時代によって「性悪説」の教育が主流となったり、「性善説」の教育が主流となったり、両者が拮抗しています。
「性善説」の先生もいれば、「性悪説」の先生もおられます。
また中間の先生もおられます。
様々な考え方の先生がおられます。
どうして「性善説」の方が正しいのに、教育現場においては「性悪説」の教育がなくならないのか。
人を信用しない性悪説の方が安全と考えてしまう
それは人間のものの見方には「渡る世間に鬼はなし」とする人間を信頼していこうとする立場と「人を見たら泥棒と思え」とする他人を信用しない立場があって、それは人間の心の奥深い部分に存在する二つの根本的な「人間観」に由来するからです。
他者は基本的に良い人で信頼できるとする「性善説」。
他者は基本的に冷たく利己的で信頼できないとする「性悪説」。
現実の他者は両方いるわけで、このように見ると「性善説」だと騙されそうで、「性悪説」の方が安全なようにも見えるでしょう。
子どもの教育においても同じで子どもを信頼し、子どもに任せておいたら、いつまで経っても勉強しないし、親や教師の望む良い子になんかならない。やっぱり親や教師の望む良い子にするためにはそのように指導し管理していかなければダメだと考えてしまうのは理解できなくはありません。その方が安全だし確実だと考えるのは良くわかります。子どもに全部任せてしまうのは不安ですもんね。
そうすると子どもを指導、管理し、強制させる「性悪説」の教育になってしまうのです。
それは親と子の対立、先生と生徒の対立を生みます。
人間は管理され、自由を奪われ強制されることに対しては断固闘うからです。
親と子、先生と生徒が敵同士になっては教育は出来ません。
教育するためには子どもとの信頼関係が不可欠です。
その信頼関係を壊してしまうから「性悪説」に立った管理教育は良くないのです。
プラス思考で生きるのも、性善説の教育も覚悟と勇気が必要
ところで皆さんは物事を良い方に解釈する「プラス思考」と物事を悲観的に捉える「マイナス思考」とどちらが良いと思われますか?
「そりゃあプラス思考の方がいいかもしれないけど、気がついたらマイナス思考になってしまう」という人が多いんじゃないでしょうか。
そうなってしまうのはやっぱりマイナス思考で用心しとく方が安全という考えが心の何処かにあるからだと思います。
プラス思考で楽観的でいるのはどこか不安に感じるのでしょう。
プラス思考になるのには実は相当な覚悟と勇気がいるのです。
それは「損をする覚悟」「失敗する勇気」です。
その覚悟と勇気がビシッと決まれば「プラス思考」で幸せに生きることができるのでしょう。
「性善説」の教育も覚悟と勇気が必要で、それが決まれば子どもを信頼し任せていくことが出来るのだと思います。親と子、先生と生徒が信頼し合い、尊重し合うところから本当の教育ができるのだと思います。
性善説、性悪説をもう少し深く考察したコラム記事「性善説の教育は愛の心から、性悪説の教育は子どもを支配したいエゴから生まれる」はこちら⇨
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5057112/
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