第49回ペアレントセミナー「発達障害傾向を改善する5つの接し方」ありがとう<後編>

長谷川満

長谷川満

テーマ:ペアレントセミナー

 初めからお読みになられたい方はこちらからお読みください。
 第49回ペアレントセミナー「発達障害傾向を改善する5つの接し方」ありがとう<前編>
 https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5026235/







 2、わがままやこだわりを受け入れる

 発達障害傾向で一番しんどいのは癇癪とパニックです。
 これらは起こせば起こすほど癖になってしまい、
 より頻繁に起こすようになってしまいます。
 ですから起こさせないようにすることが大事です。
 そのためには「わがままやこだわりを受け入れる」ということです。
 親から見ればわがままに見えることでも子どもは子どもなりに理由があります。
 でもそれを上手に言えないものですから癇癪やパニックといった表現手段を使って意思表示をしているのです。
 発達障害の子に勝とうとしてはいけません。合わせてあげてください。


 3、直そうとしたり、出来るようにと頑張り過ぎない

 何かを直そうとしたらその子を叱るなり、注意しなければなりません。
 何かを出来るようにしようとしたら、その子が苦手なことや嫌がっていることを繰り返し何度もやらせなくてはなりません。
 それらは子どもとの「あたたかくて楽しい関係」を阻害します。
 「あたたかくて楽しい関係」が作れれば、子ども自らが欠点を直そうとし、必要なことが出来るようにと努力するようになります。
 私の生徒で全く勉強に対してやる気がなかった子がいたのですが、一緒にゲームをしたり、ゲームの話で盛り上がったりするうちに自然に勉強に対するやる気が出てきたという例もあります。
 子どもの意欲や向上心は「あたたかくて楽しい関係」から生まれるのです。
 
 
 4、叱らない。「ダメ!」など否定語を使わない

 発達障害の子にとって叱られるのはすごく不安に感じます。
 不安になってしまうとパニックになってその後何を言われても頭に入りませんから何かを理解させたい時には叱ってはいけません。
 では、どうすればいいのか?
 例えば友達を叩いてしまった時は、穏やかに「ちょっと待って。どうしたのかな?遊びたかったの?そんな時は撫で撫でして『あそぼ』て言うんだよ。」とその子の気持ちをゆっくり聞いてあげて、優しく「そんな時はこうするといいよ」と教えてあげてください。
 家庭教師でも計算ミスの多い子に「またやった」「何回言ったらわかるの」と叱っても計算ミスは直りません。「この通りにやったら合うよ」と言って正しいやり方を見せて繰り返しやらせると計算ミスは減っていきます。




 
 5、子どもの自己成長力を信頼する
 
 自己成長力とは心理学用語であり、カウンセリングを作ったカール・ロジャースの言葉です。
 カウンセリングは直接的にその症状を直そうとはしません。
 クライアントに対して受容と共感的理解によってありのままのその人を受け入れます。
 その中でクライアント自身が本当の気持ちに気づいたり、自分を受け入れられるようになっていく。
 ありのままの自分を受け入れられるようになった分だけ、人の気持ちもわかるし受け入れられるようになっていく。
 それを成長と呼びます。
 そして成長することによって様々な症状を克服していくという治療モデルです。
 カウンセリングの創始者カール・ロジャースはこのように言っています。
 「人は他の人から理解され、わかってもらえたと思った時、心にある変化が生じます。それが真に自分に向き合う力となり、自らを成長させていきます。」
 発達障害傾向を改善し、健全な発達を促すためには安心感が大事ということをお話ししましたが、安心感を一言で言うなら「そのままでいいよ」ということです。それは子どもを変えようとしないということです。
 直接、問題の部分を直そうとするのではなく、まずその子とあたたかい楽しい関係を作る。
 その子の理解者になる。
 そうするとその良好な関係がスイッチとなって自己成長力が活発に働くようになります。
 親は直接的に子どもを変えることはできません。
 その子を変えることができるのはその子自身だけです。

 
          < 補足 >
 
 発達障害のある子はコミュニケーションや対人関係に問題がある場合が多くその面での改善も課題になります。
 コミュニケーション力をつける上で一番大切なのは親子関係の中でコミュニケーションする楽しさを十分に体験していることです。
 それがコミュニケーション力の向上につながります。
 つまり良好な親子関係を築くことは、あらゆる面で発達障害傾向の改善にとって重要だということです。
 発達障害傾向のある子と良好な親子関係を築くためにはどうすればいいのか?
 その答えは資料「発達障害傾向を改善する5つの接し方」にある通りです。

 子どもに安心感を与え、
 わがままやこだわりを受け入れ、
 無理に直そうとせず、
 叱ることなく、
 自己成長力を信じて待つ。

 このように接することにより、子どもは落ち着き、癇癪を起こさなくなり、親の言うことも聞けるようになり、こだわりも減っていきます。
 そしてその結果、親はものすごく子育てが楽になります。
 それは子どものコミュニケーション能力が高まったからに他なりません。

 結局、子どもの自己成長力をいかに引き出し活発化させられるかが鍵なのです。
 そしてその方法論が「発達障害傾向を改善する5つの接し方」なのです。

 

 講演の終わりに藤田麻衣子さんの「素敵なことがあなたを待っている」の曲に合わせてお一人お一人それぞれ違った詩をプレゼントしました。


  
 そのあと30分ほど質疑応答の時間を取りました。



 小学2年生女子の場面緘黙に対する質問や不登校に関する質問、テレビや動画をすごく見たがるのだけどどうすればいいかなどの質問がありました。

 
 みなさんお忙しい中、参加していただきありがとうございました。
 もし今回のセミナーに参加された方でこのブログをご覧になられている方がございましたら感想等コメントいただけると大変嬉しいです。
 次回のペアレントセミナーは10月~12月に予定しています。
 またお会いできることを楽しみにしています。




        < リンク >

 
 講演会の講演依頼.com|長谷川満 プロフィールページ
 https://www.kouenirai.com/profile/3820

 システムブレーン|長谷川満 プロフィールページ
 https://www.sbrain.co.jp/keyperson/K-7816.htm

 教育講演・人権講演のテーマや内容については
 http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/

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 http://www.hariat.co.jp/ksg/

 長谷川満の見方が変わる相談室
 http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/448895890.html

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長谷川満
専門家

長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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