第37回ペアレントセミナー『コトバは人を幸せにするためにある』 ありがとう<後編>

長谷川満

長谷川満

テーマ:ペアレントセミナー

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 一つの言葉がどれだけ人の気持ちを癒し、勇気づけるのか。今日は皆さんに紹介したい絵本がありまして持って参りました。「さっちゃんのまほうのて」です。


 
 さっちゃんはままごと遊びのお母さん役がしたかったのですが、お友達の「さっちゃんはお母さんにはなれないよ。手のないお母さんなんてへんだもん」という言葉に大変傷つきます。さっちゃんは先天性四肢障害で右の手には指がなかったのです。
 さっちゃんはお母さんに尋ねます。
 「小学生になったらさっちゃんの指、みんなみたいに生えてくる?」
 お母さんは両手でさっちゃんの手をやさしく包んで言いました。
 「さちこの手はね、小学生になっても今のままよ。
  でもね、さっちゃん。
  これがさちこの大事な大事な手なんだから。
  お母さんの大好きなさちこのかわいいかわいい手なんだから。」
 さっちゃんの目にみるみる涙があふれました。
 「いやだ、いやだ、こんな手いやだ。」
 お母さんの目にも涙があふれました。
 
 その夜さっちゃんは、お友達の言葉が本当だったらお母さんにはなれないと不安で眠れませんでした。
 次の日、さっちゃんは幼稚園を休みました。
 さっちゃんが幼稚園に行かなくなって何日かたちました。

 お母さんは赤ちゃんを生みました。

 病院からの帰り道、お父さんとさっちゃんは手をつないで歩きました。
 さっちゃんがぽつんと言いました。
 「さっちゃん、指がなくてもお母さんになれるかな。」
 「なれるとも、さちこは素敵なお母さんになれるぞ。
  誰にも負けないお母さんになれるぞ。」
 お父さんはさっちゃんの手を大きくふって言いました。
 「それにね、さちこ。
  こうしてさちこと手をつないで歩いていると、とっても不思議な力がさちこの手からやってきてお父さんの体いっぱいになるんだ。
 さちこの手はまるで魔法の手だね。」

 さっちゃんはこの言葉をきっかけに、またもとの元気なさっちゃんに戻ります。
 幼稚園のジャングルジムでさっちゃんはお友達と元気に遊んでいます。
 「さっちゃん、すべるなよ。」
 「へいき!だってさちこの手は魔法の手だもん。」

                           (おしまい)

 さっちゃんを救った言葉、それはお父さんの「こうしてさちこと手をつないで歩いていると、とっても不思議な力がさちこの手からやってきてお父さんの体いっぱいになるんだ。さちこの手はまるで魔法の手だね。」という言葉です。
 さっちゃんを救った言葉はお父さんの愛の心が生み出したものです。
 愛の言葉は人の心を癒し、人を勇気づけ、前に進む力をくれる光の言葉なのです。
 
 言葉には人を幸せにする力があります。
 ここからは「言葉の力」について解説していきます。

 < 言葉の力 >

 1、名づける力(ものを存在させる力)
 みなさん、この色は何色でしょう?



 これを「こけ色」と言います。
 初めて知りましたか。
 実は今みなさんの心に「こけ色」が存在することになりました。

 みなさん、オリオン座はご存知ですね。
 こういう星座ね。冬の星座です。



 江戸時代の日本人は冬の夜空を見上げて、こういう星の並びを見ても「オリオン座」というもの、言葉を知らなければそれは存在していないことになる。ただ星がバラバラに並んでいるだけで「オリオン座」は存在していません。
 名前がついて、言葉にされて、心に認識されて、初めて存在は生まれます。
 言葉はものを存在させる力を持っているのです。

 2、意味づけする力
 カニみそが好きな人? 結構いらっしゃいますね。おいしいですね、カニみそ。
 じゃあ、苦手な人?  何人かいらっしゃいますね。おいしくないですね。

 さて、カニみそはおいしいのでしょうか、おいしくないのでしょうか。

 「おいしい」という人にとってはおいしいし、「おいしくない」という人にとってはおいしくない。
 それを決めているのは私たち一人一人です。
 あなたは幸せですか?と聞かれて、「幸せです」と答えればその人は幸せです。「いいえ、幸せではありません」と答えればその人は幸せではありません。
 すべての物事ははじめから「良い、悪い」が決まっている訳ではありません。
 それを私たちが「良い、悪い」「正しい、間違っている」「おいしい、まずい」「好き、嫌い」という言葉で決めているのです。
 私たちはあらゆるモノについて言葉で意味づけをしています。

 3、呼ぶ力
 「山本さ~ん」と呼べば山本さんが来られます。
 「田中さ~ん」と呼べば田中さんが来られます。
 レストランに行って「カレーライス」と言えばカレーライスが出てきます。
 ですから「ありがとう」と言えば、「ありがとう」と呼べるようなことが出てくるのです。
 とてもシンプルですね。
 「うれしい」と言えば、また「うれしい」と呼べるようなことが出てくる。
 こんな言葉が日本にはあります。
 「喜べば、喜び事が喜んで、喜び連れて、喜びに来る」
 また「笑う門には福来る」て言うでしょ。
 笑う、つまり喜んだり楽しんだりしていると、また喜び事がやってくるということですね。
 「おいしい」と言えば「おいしい」ものが出てくる。
 だから、「おいしい」「うれしい」「たのしい」「しあわせ」「だいすき」「ありがとう」「だいじょうぶ」という幸せを呼ぶ言葉を日常生活でたくさん使えば使うほど幸せが寄ってきます。

 4、わかり合う力(つなげる力)
 心を見ることは出来ません。
 でも心は見せることは出来ます。
 自分の思いを言葉にすることによって自分の心を見せることは出来ます。
 そうしてわかり合い、人と人はつながり合うことができます。

 そのようにお話しました。
 最後に浜崎あゆみさんの「How beautiful you are」の曲にのせてお一人お一人にそれぞれ違った詩をプレゼントしました。


 
 ペアレントセミナーに参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
 またお会い出来る日を楽しみにしております。
 次回のペアレントセミナーは来年3月29日(日)です。


 

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長谷川満
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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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