虐待問題から子育てを考える

長谷川満

長谷川満

 最近、新聞でよく虐待事件のことを目にします。
 痛ましい事件を目にするたび、「どうして・・」というやりきれない思いが湧いて来ます。
 虐待をする人たちには、個人個人、違った事情や背景があるのだと思うのですが、きっと、これだけは共通して言えるのではないかと思うことがあります。

 それは、虐待する人たちは一様に「不幸」だということです。
 (実際に共通項として、経済的困窮・孤立・生育家庭が不幸ということがあるそうです)

 「自分だけ、なんでこんな目に合わなけりゃならないんだ。」
 「自分だけ、なんでこんな人生なんだ。」という、自分の人生や境遇に対する怒りみたいなものが、いつも心の底にあるのではないか、ということです。

 常に自分の人生(運命)に対する怒りがあって、その怒りを晴らしたい、その怒りをぶちまけてスッキリしたい、という思いがあるように思えて仕方ありません。
 そして、その怒りをもっとも手っ取り早く解消する手段が「虐待」なのではないかという気がするのです。つまり親の理不尽でハードな「八つ当たり」が虐待なのではないかと。
 だから、虐待している親にいくら虐待をやめるように言っても、そう簡単に自分が慣れ親しんだストレス解消の手段を手放せないのだと思います。
 そして「自分の責任ではなく、理不尽に自分は不幸である」という強い被害感情が怒りをさらに強くしているように思われます。

 ところで、親である自分自身を振り返った時、程度は違えど、イライラしている時に子どもに八つ当たりしていることに気がつきます。
 そして、それを八つ当たりと自覚していることは少なく、「子どもが~だからだ」と怒りの原因をすべて子どもの側に押しつけがちですが、よくよく考えてみると、その日は仕事で嫌なことがあったとかして、原因は自分の精神状態にあった、ということも多いように思います。

 まあ、こんなことはどこの家庭でも日常茶飯事で、取り立てて言うほどのこともないのですが、「八つ当たり」をして子どもに迷惑をかけている自覚は持っていた方がいいと思います。それだけで「八つ当たり」する回数は減ります。
 結果、不機嫌である時間も短くなります。

 親とは勝手なもので、機嫌がいい時は子どもに優しく接しているのですが、機嫌が悪い時はちょっとしたことでもすごく怒ったりするものです。機嫌が悪いからって怒られたんじゃ、子どももたまったものではありません。ですから、できるだけ自分の精神状態を「平和」で「機嫌がいい」にしておくことが、子どもに八つ当たりして迷惑をかけないコツなのですが、まあ、いつもいつもそんなふうにはいかないもので・・、ある程度、子どもに迷惑をかけるのは仕方のないことです。それを許してくれていると思えば、子どもにあまり偉そうなことは言えません。

 僕も生徒を指導をする上で、できるだけ精神状態が「幸福」「平和」であるように心がけています。そうすることで、いい指導が出来るように思うからです。「楽しい指導、わかりやすい指導、柔軟で適切な対応」のためには、やはり自分の精神状態は重要です。

 家庭生活や子どもの教育においても、親が「幸福」であることはとても重要です。
 親が幸せであれば、家庭に笑顔が増えます。
 許せることが増えます。
 ということは怒ることが減ります。八つ当たりが減ります。
 いい判断が出来、いい対応が出来ます。

 幸せであるために何が必要か。
 「感謝」と「プラス思向」が大切なのは言うまでもありません。
 でも、もう一つ大事なものがあります。
 「誰かのせいに、何かのせいにしないこと」です。
 それは自分の問題は自分の問題として、きちんと受け止めて、誠実に対応すること。
 自己正当化することなく、逃げることなく、そのままを受け入れて、その上で自分にできることを一つ一つやっていくこと。
 
 人間、生きていれば、それぞれに悩みは尽きません。
 でも、その悩み、問題のおかげで、色々なことに気づかされ、成長もしていきます。
 あの問題があったからこそ、あの時、悩み苦しんだからこそ、今がある。そう考えるなら、悩み苦しみも自分が成長する上で必要なことであったと思えるのではないでしょうか。

 問題は悩みそのものではなく、自分がその悩みにどう向きったのか、その姿勢こそが大切なのだと思います。そして、その向き合い方こそが自分の生き方そのものなんだと思います。




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長谷川満
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長谷川満(家庭教師)

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発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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