岐阜県多治見市立滝呂小学校での講演会「思春期・反抗期の子どもとのつき合い方」
『助長』という言葉があります。
これはもともと中国の孟子の言葉から来たもので、本来「助けて長ぜしむことなかれ」と、それを伸ばしてやろうといらない手助けはしてはいけないとの意味でした。
それは、孟子がどうすれば天地の理にかなった生き方、生き生きと自分も伸ばし人も伸ばし、自分も人も幸せにするような生き方ができるのですかと問われた時に語ったたとえ話から来ています。
昔、宋の国に苗がなかなか伸びないのを心配した農夫が、ご丁寧にも一本一本の苗を引っ張って伸ばして回った。家に帰った農夫は家族に「今日、苗が早く伸びるようにと一本一本引っ張って伸ばしてやった」と言った。それを聞いた息子は驚いて苗を見に行くと、引っ張られたせいで根が切れてすべての苗が枯れてしまっていた。
だから、自分の小さな考えでいらないことをすることは『天地の理』から離れてしまうことになるので、いらないことはしない方がいいと戒めた言葉なのです。
子育てもこれと同じで、親の思いだけで「いらないこと」をして、かえって成長の邪魔をしている時があります。
「いらないこと」はこんな子に育てたい、あんな子に育ってほしいという親の思いや心配から生まれます。いい子にしようという親の思いが、子どもを苦しめ、子どもが伸びるのを邪魔しているということはよくあることです。
この子はすでに素晴らしい、とその子の善さを信じて待つ、その子の善さを見てほめて待つ、そうすれば、必ずその子の善さが表れてきます。
それが『天地の理』にかなった子育てなのだと思います。
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