第42回ペアレントセミナー『子育てはただ飯食わせ服着せて布団に寝かすことと知るべし』<前編>
9月30日(日)は、第31回ペアレントセミナーがありました。
ちょうど開催時間と台風17号の最接近時とが重なり大変な雨と風の中、30人近くの方がわざわざ来て下さいました。本当に感謝です。
今回のテーマは
「夫婦・親子が仲良くなれる方法 ~ I(アイ)メッセージで素直な気持ちを伝えよう~」。
まず最初にこんなお話をしました。
あるところに喧嘩ばかりしている家族がありました。
ところがお隣からは怒鳴り声が一度も聞こえてきたことがありません。
そこでどうすれば喧嘩せずに仲良く暮らせるのか聞きに行きました。
するとそこのご主人が
「お宅は善人さまばかりだから喧嘩になるのでしょう。
うちは悪人ばかりだから喧嘩になりません」と言われます。
最初はその意味がわかりませんでした。
そのとき、家の奥でガシャーンと茶碗の割れる音がしました。
「お義母さん、ごめんなさい。私の不注意でお義母さんの大切なお茶碗を割ってしまいました。」
「いやいや、そんなところに置きっぱなしにしていた儂が悪いのじゃ。ケガはなかったか。ほんまにすまなんだのう。」
「いえ、よく見ていなかった私が悪いのです。」
「いや、儂が悪かった。」
私が悪かった・・、悪人・・!
悪人とは、自分が悪かったと認める人のことだったのか。
それに較べてうちは、自分の方が正しいとそれぞれが自分のことを善人だと思っている、それぞれの正しさを主張して喧嘩になる。お隣さんのように「自分が悪かった」と見ていくなら喧嘩にならないのだと悟ったということです。
そのあと、I(アイ)メッセージとYOUメッセージの違いを説明しました。
YOUメッセージとは主語が「あなた」ではじまるメッセージのことで、
「(あなたは)どこで何してたの!どうしてそんなに遅いの」(批判)
「(あなたは)はやく勉強しなさい」(命令)
といった相手に対する批判や命令、決めつけになりやすく喧嘩にもつながります。
それに対してI(アイ)メッセージ(主語が「わたし」)は自分の素直な感情を表します。
「(わたしは)すごく心配してたのよ、遅かったから」
これだと言われた相手も批判されているわけではないので受け入れやすいのです。
例としてある音楽学校の校長先生の話をしました。
その学校では、生徒たちに一流の音楽を聞く機会を持たせてやりたいと、一流の演奏家を招いて演奏会を開くことになりました。ところがその当日、少しやんちゃな男子生徒4人がその演奏会をさぼったのです。
それを聞かれた校長先生はその4人を呼ばれてこう言われました。
「私は君たちに一流の音楽を聴かせたかった。一流の音楽がどんなに人の心を感動させるものか、知ってほしかった。今回来ていただいた方たちの演奏はそれは素晴らしいものだったよ。心震える演奏だった。
君たちにも是非聴いてもらいたかったよ。
それが残念でならない。
正直、君たちがさぼったと聞いた時は「どうして」と思ったが、今回の演奏会がどれほど大切なものなのか、どれほど素晴らしい演奏会なのかを君たちには伝えられていなかったのだと反省をした。もう少し、ちゃんと伝えておけばよかった。すまなかった。
それを伝えたかった。
ありがとう。もう帰ってよろしい。」
その後、その4人は心を入れ替えて熱心に音楽の勉強に取り組むようになったそうです。
もし、「君たちはなぜあんなに大切な演奏会をさぼったんだ!君たちは間違っている。反省したまえ。」
とYOUメッセージで説教していたなら、その4人も反発し心を入れ替えることはなかったかもしれません。
YOUメッセージは、相手をやっつけようとしたり、変えようとするものであり、相手を尊重しない支配的な関わりになりやすいのに対して、I(アイ)メッセージは相手を変えようとする動機を持たず、自分の気持ちを伝えたあとどういう行動をとるのかは相手の自由に任せていく、つまり相手を尊重した関わりなのです。
ところで皆さん、I(アイ)メッセージで素直に自分の思いを伝える方がいいのなら、怒りの感情もそのまま伝えた方がいいのか、「私はあなたに腹を立てている」と言って喧嘩にならないのかという疑問が湧いてきます。
怒りの感情は、それが起こる前に必ず別の感情があるものです。
(さびしい思い)→「あなたは私にさびしい思いをさせた」→(怒り)
(心配・不安)→「あなたは私を不安にさせた」→(怒り)
(はずかしい思い)→「あなたは私にはずかしい思いをさせた」→(怒り)
まず最初に、(さびしい思い)や(心配・不安)や(はずかしい思い)を感じているのですが、それが「あなたが私を◯◯させた」と感じることにより(怒り)が生まれます。あとに起こった怒りの感情を相手にぶつけるのではなく、最初の感情、さびしい思いや不安を素直に伝えていくのがI(アイ)メッセージです。
ところが、こういった思いは少し甘えた気持ちであったり、大人げない子どものような気持ちであったり、弱い気持ちであったりするものですから、恥ずかしい、カッコ悪いと感じてそのまま伝えづらいものです。
そういう正直な自分の気持ちを伝えることを「自己開示」と言います。
そして、この「自己開示」が相手と仲良くなる上でとても重要です。
<自己開示の効用>
1、自己開示することにより、相手は「自分に心を開いてくれている、信頼してくれている、正直に誠実に接してくれている」と好感を感じる。
2、自分の正直な気持ちを語ることにより心の浄化作用が起こる(カタルシス効果)。自分の気持ちを聞いてくれたり、受け止めてくれたりする相手に好感を感じる。(自己開示する方もされる方も互いに好感度や親密さが増す)
3、こちらが自己開示すると、相手も自己開示するようになり、さらにより理解し合えるようになると同時に親密さが増す。
4、自分の気持ちに正直になるために、ストレスが減りイキイキしてくる。自分の感情により気づくようになり、自分らしく生きられるようになる。
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