子どもや孫への教育資金1500万円は非課税
寄附先によって変わる取扱いと注意点
地震や大雨などの自然災害が発生すると、被災地を支援するための義援金や寄附を目にする
機会が増えます。
「被災された方の力になりたい」と思って寄附をする方も多いと思いますが、
こうした寄附は、寄附先や使い道によって税金の取扱いが異なることをご存じでしょうか。
個人の場合は「寄附金控除」や「ふるさと納税」の対象となる場合があり、
法人の場合には「損金」に算入できる場合があります。
そこで、本稿は、災害義援金を中心に、寄附をした場合の税務上の基本を分かりやすく
解説します。
1.「義援金」と「支援金」はどう違う?
災害支援のための寄附には、「義援金」「支援金」などさまざまな呼び方があります。
一般的には、次のような違いがあります。
•義援金
被災者への見舞金・生活再建支援などを目的とし、集められたお金が被災者に配分されるもの
•支援金
被災地で活動するNPO法人やボランティア団体などの活動資金として使われるもの
ただし、税務上は「義援金」「支援金」という名称だけで判断するわけではありません。
どこに、どのように寄附したのか、最終的に何に使われるのかによって、寄附金控除や損金算入の取扱いが決まります。そのため、「災害支援のための寄附だから、必ず税金の控除を受けられる」と考えないことが大切です。
2.寄附先によって税金の取扱いが変わります
主な寄附先ごとの税務上の取り扱いをまとめると、次の表とおりです。
| 寄附先 | 個人の税務上の主な取扱い | 法人の取扱い |
|---|---|---|
| 被災地の自治体の 災害対策本部など | 「寄附金控除」の対象。 原則として「ふるさと納税」に該当 | 全額損金算入 |
| 日本赤十字社・中央共同募金会などの 専用義援金口座 | 一定の要件を満たすものは「寄附金控除」の対象。 原則として「ふるさと納税」に該当 | 全額損金算入 |
| 認定NPO法人等 | 要件を満たせば「寄附金控除」または「税額控除」の対象 | 特別損金算入限度額の範囲内で損金算入 |
| 一般のNPO法人・ 任意団体など | 原則として所得税の寄附金控除の対象外 | 一般寄付金として損金算入限度額の範囲内で損金算入 |
国税庁「義援金に関する税務上のFAQ」
特に注意したいのが、
日本赤十字社などへの寄附でも、何でも同じ取扱いになるわけではないという点です。
例えば、日本赤十字社や中央共同募金会が募集する義援金のうち、
最終的に被災した地方公共団体などへ拠出されることが明らかなものは、一定の要件のもとで「特定寄附金」として扱われます。
一方、団体自身の事業活動を支援するための寄附などは、別の取扱いになる場合があります。
寄附をする際は、「災害義援金」として募集されているものなのか、事業活動等への支援なのか、寄附金の使途は何なのかを確認しておきましょう。
また、大きな災害が起きた時など、テレビ局が「ドラえもん募金」とか「サザエさん募金」等の名称で義援金を集めますが、特別なことがない限り日本赤十字を通じて被災地の支援に役立てるスキームなので、「寄付金控除」の対象になります。
コンビニやスーパー等で見かける募金箱。気軽に募金ができますが、募金箱にお金を入れただけでは「寄付金控除」は受けられません。「寄付金控除」を受けるには、確定申告の際に寄付したことを確認できる書類(寄付先や寄付の額等を証するもの)が必要となります。
3.自治体への義援金なら「ふるさと納税」になる場合も
被災地の自治体に設置された災害対策本部などへ直接義援金を支払った場合、
その寄附は、所得税の寄附金控除の対象となります。
さらに個人住民税についても寄附金税額控除の対象となり、原則として「ふるさと納税」に該当します。この場合、条件を満たせばワンストップ特例制度を利用することもできます。
一方、日本赤十字社や中央共同募金会などの専用口座に寄附し、最終的に被災自治体などへ拠出される義援金も、原則として「ふるさと納税」に該当します。ただし、ワンストップ特例は利用できません。したがって、控除を受けるためには確定申告が必要になります。
◆ここがポイント
• 被災自治体の災害対策本部などへ直接寄附
→ 原則「ふるさと納税」に該当・ワンストップ特例が利用できる
• 日本赤十字社・中央共同募金会などの専用義援金口座
→ 原則「ふるさと納税」に該当・ワンストップ特例は利用できない
同じ災害義援金でも、寄附先によって手続きが変わるため注意が必要です。
4.寄附金控除はいくら受けられる?
個人が一定の寄附をした場合、所得税について「寄附金控除」を受けることができます。
一般的な所得控除の場合、基本的な計算は、
その年に支払った特定寄附金の合計額 − 2,000円 です。
ただし、寄附金の額には総所得金額等の40%相当額などの上限があります。
例えば、1万円の対象となる義援金を支払った場合、他の条件を満たしていれば、
10,000円 − 2,000円 = 8,000円 が寄附金控除額となります。
ただし、これは「税金が8,000円安くなる」という意味ではありません。
所得控除によって課税所得が減少するため、
実際に軽減される税額は、その人の所得や税率によって変わります。
また、認定NPO法人等や一定の公益法人への寄附については、
所得控除ではなく「税額控除」を選択できる場合があります。
5.寄附をしたら「証明書類」を保管しましょう
「寄附金控除」を受けるためには、寄附をしたことを証明する書類が必要になります。
例えば、
• 寄附先から発行された領収書・受領証
• 募金団体の預り証
• 銀行振込で寄付した場合の振込表(控え)
• 郵便振替で寄付した場合の受領証(半券) ――などです。
特に災害義援金を銀行振込などで支払った場合には、単に振込記録が残っているだけでなく、
その口座が義援金の受付専用口座であることが分かる資料が必要となる場合があります。
寄附をしたときは、領収書だけでなく、募集案内や寄附先のホームページなども保存しておくと安心です。
6.法人が災害義援金を支払った場合
法人が支払った義援金についても、寄附先や使途によって税務上の取扱いが異なります。
例えば、被災地の自治体に設置された災害対策本部への義援金や、
一定の要件を満たす日本赤十字社・中央共同募金会などへの義援金で、最終的に被災自治体等へ拠出されることが明らかなものは、「国等に対する寄附金」として全額が損金に算入されます。
一方、認定NPO法人や公益法人などへの寄附は、一定の優遇措置があるものの、
損金算入できる金額には限度があります。
また、一般の団体などへの寄附は、一般の寄附金として損金算入限度額の計算が
必要となる場合があります。
したがって、法人の場合も、「災害支援のための寄附だから全額損金」とは限りません。
7.「チャリティ商品を買う」のは寄附とは限りません
災害支援のために販売されている商品(チャリティーグッズ等)を購入する場合にも注意が必要です。
例えば、「売上の一部を被災地に寄附します」という商品を購入した場合、基本的には購入者は商品の代金を支払っているのであり、直接寄付をしているのではないので、その購入代金全額が「寄附金控除」の対象になりません。
「寄附」なのか「商品の購入」なのかによって、税務上の取扱いは異なります。
8.寄附先を選ぶときは「税金」だけで決めない
災害義援金や寄附は、被災地や被災者を支援するためのものです。
税金の控除を受けられるかどうかだけを基準に寄附先を選ぶ必要はありません。
その一方で、同じ金額を寄附するのであれば、
税務上の取扱いや必要な手続きを知っておくことは大切です。
特に、「日本赤十字社に義援金を寄附したので、ふるさと納税と同じようにワンストップ特例で済む」と考えてしまうと、手続きが不足する可能性があります。
日本赤十字社などを通じた一定の災害義援金は、
ふるさと納税に該当してもワンストップ特例は利用できないため、確定申告が必要です。
被災自治体や災害対策本部に直接寄付した義援金以外は、確定申告をしないと「寄付金控除」は受けられないと捉えてください。
普段、確定申告をしていない方(会社員ら)にとって、ここが実際のハードルになります。
まとめ
災害義援金は、被災地や被災者を支援する大切な方法の一つです。
税務上も、一定の要件を満たせば、
個人は寄附金控除、法人は損金算入などの優遇措置を受けることができます。
ただし、
• どこに寄附したのか
• 何のために集められた寄附なのか
• ワンストップ特例を利用できるのか
• 確定申告に必要な書類がそろっているか ――によって取扱いが変わります。
「災害義援金だから大丈夫」と一律に判断せず、寄附先や使途を確認した上で、
必要な書類を保管し、自治体以外の義援金の場合は確定申告が必要となります。
税務上の取扱いは寄附先や制度によって異なるため、
判断に迷う場合は、寄附先への確認や税理士への相談をおすすめします。


