生成AI搭載型「協働ロボット」は、深刻化している「労働力不足」を解決する切り札となるか?

濱田金男

濱田金男

テーマ:DX化で製造業は変わる!

「労働力不足」が深刻化してきている現在、それを解決する手段の一つとして協働
ロボットが注目されており、生産・物流・医療などの現場で協働ロボットを導入して
いる事例も増えてきています。

協働ロボットは、英語で「Collaborative Robot」と呼ばれ、次世代型の産業用ロボ
ットです。
自動車のフレームの溶接ロボットのように、従来の大量生産向けロボットは、安全柵
の中で高速かつ高精度の作業を担うのに対し、協働ロボットは人と同じ作業空間で安全
に稼働できるよう高性能センサーや衝突検知機能を備えています。

さらに、「協働」という名前が示す通り、人と同じように細やかな作業を実現しつつ
ロボットの高い反復精度や長時間の動作が実現可能です。また安全柵なしで人間と並
んで作業できるため、製造業の様々な工程で活用されています。
また、柔軟性にも優れ、多品種少量生産や頻繁な工程変更が必要な現場でも導入が可能
です。

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協働ロボットは、従来の産業用ロボットとは異なり、主な用途としては、以下のものが
あります。

1. ピッキング・パレタイジング
部品や製品のピッキング、仕分け、梱包、パレタイジングなどの作業を自動化できます。
カメラやセンサーと組み合わせることで、複雑な形状やサイズの異なる対象物を正確に
認識し、ハンドリングすることができます。
例えば、倉庫での入出庫作業、工場での生産ラインへの部品供給、物流センターでの
仕分け作業などに利用されています。

2. 組立・組み立て
ねじ締め、部品の挿入、接着、圧入などの組立・組み立て作業を自動化できます。
高精度な作業が求められる精密機械の組み立てや、複雑な形状の部品の組み立てなど
に適しています。
例えば、自動車部品の組み立て、電子機器の組み立て、家具の組み立てなどに利用さ
れています。

3. マシンテンディング
工作機械や射出成形機などの操作、監視、部品の供給、取り出しなどを自動化できます。
人手に頼っていた作業を自動化することで、作業者の負担軽減、生産性向上、品質安定
に貢献します。
例えば、CNC工作機械へのワークの着脱、射出成形機からの成形品の取り出しなどに
利用されています。

4. 検査・品質管理
カメラやセンサーを用いて、製品の外観検査、寸法検査、欠陥検査などを自動化できます。
人間の目視検査では見逃してしまうような微細な欠陥も、協働ロボットは高精度に検出
することができます。
例えば、自動車部品の外観検査、電子部品の寸法検査、食品の異物検査などに利用されて
います。

5. 研磨・バリ取り

部品の研磨、バリ取り、表面仕上げなどの作業を自動化できます。
力覚センサーを搭載することで、対象物の形状や材質に合わせた繊細な力加減で作業
することができます。
例えば、金属部品の研磨、プラスチック部品のバリ取り、木工製品の表面仕上げなど
に利用されています。

6. 溶接・塗装
溶接、塗装、シーリングなどの作業を自動化できます。
熟練作業者の技術を再現することができ、品質の安定化、人材不足の解消に貢献します。
例えば、自動車部品の溶接、家電製品の塗装、建築物のシーリングなどに利用されて
います。

その他
研究開発や実験などの作業
医療現場での補助作業
サービス業での接客補助

協働ロボットは、今後も様々な分野で活用が拡大していくことが期待されています。

また、協働ロボットに生成AI機能が搭載された場合、以下の様な用途で活用
期待 できます。


1. より高度な作業の自動化
従来の協働ロボットは、あらかじめプログラムされた動作を繰り返すものが主流でした。
生成AI機能が搭載されることで、ロボット自身が状況を判断し、最適な行動を生成で
きるようになります。
これにより、より複雑で高度な作業の自動化が可能になります。例えば、

・バラ積みされた部品を認識して、適切な順番でピッキングする。
・組み立て作業中に発生する予期せぬ事象に対応する。
・作業環境の変化に応じて、動作を自動的に調整する。
など

2. プログラミングの効率化
従来の協働ロボットは、専門の技術者によるプログラミングが必要でした。
生成AI機能が搭載されることで、自然言語や画像などによる指示で、ロボットに動作
を学習させることが可能になります。
これにより、プログラミングの負担が軽減され、導入コストの削減にも繋がります。
例えば、
・「この部品をあの位置に移動して」と指示する。
・完成品の画像を見せることで、組み立て方を学習させる。
など

3. 異常検知・予知保全
生成AI機能は、センサーデータなどを分析することで、機械の異常や故障を事前に
予測することができます。
これにより、予期せぬダウンタイムを削減し、生産性の向上に貢献します。
例えば、
・稼働中のモーター音や振動を分析し、異常を検知する。
・過去の故障データから、将来的な故障発生率を予測する。
など

4. 新製品開発・設計支援
生成AI機能は、過去の設計データや市場トレンドなどを学習し、新しい製品のアイ
デアを提案することができます。
また、設計の初期段階で、性能やコストなどをシミュレーションすることで、開発
期間の短縮に貢献します。

5. カスタマイズ生産への対応
生成AI機能は、顧客の要望に応じて、製品のデザインや機能をカスタマイズするこ
とができます。
これにより、多品種少量生産やマスカスタマイゼーションへの対応が可能になります。

6. 人との協調作業
生成AI機能は、人間の行動や意図を理解し、よりスムーズな協調作業を可能にします。
例えば、
・人間の作業を補助する。
・人間の指示を理解して、適切な行動をとる。
など

このように、生成AI機能が搭載された協働ロボットは、従来のロボットでは不可能
だった高度な作業や、人とのより密接な協調作業を可能にすることで、製造業のさら
なる進化に貢献することが期待されます。

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濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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