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サプリに心血管疾患の予防効果なし?

佐藤浩明

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テーマ:医療マメ知識

サプリに心血管疾患の予防効果なし?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘サプリに心血管疾患の予防効果なし?’という報告です。

 心臓病予防のためにビタミンやミネラルのサプリメントを使用してもお金の無駄になるだけかもしれない―。2012年以降に発表された179件の比較試験(RCT)のメタ解析から、マルチビタミンやカルシウムなどの人気のサプリメントは心血管疾患の予防や全死亡の抑制には役立たないことが示された。ただし、葉酸サプリメントについては摂取による脳卒中リスクの低下が認められたという。

 トロント大学の研究者らは、心血管疾患の転帰および全死亡率とサプリメント摂取の関連性を評価するため、既存のデータから対象とする比較試験を同定した。この結果、米国で最も普及している4種類のサプリメント(マルチビタミン、ビタミンCおよびD、βカロテン、カルシウム)による心筋梗塞や脳卒中、その他の心血管疾患の予防効果や全死亡リスクの低下の効果は認められなかった。また、抗酸化物質のサプリメントの摂取者では全死亡リスクがわずかだが有意に上昇していたほか、ナイアシン(ビタミンB3)のサプリメントでも全死亡リスクの上昇が示された。

 その一方で、葉酸サプリメントによって脳卒中リスクが約20%低減することが示された。この結果には2015年に報告された中国の比較試験で認められた脳卒中リスクの低減効果が大きく影響していた。ただし、この点について、専門家の一人で米国心臓病学会の研究者は「本試験は穀物製品などの食品への葉酸添加が推進されていない状況かで行われた試験であり、食事から適量の葉酸を摂取できている人であれば、葉酸サプリメントの有用性は認められない可能性がある」との見方を示している。

 また、今回の研究論文の筆頭著者は、「最も重要なのは健康的な食事を取り、サプリメントに頼らないことだ」と強調。その上で、「(野菜や果物、豆類などの)植物由来の食品をベースにした食事は、健康に大きなベネフィットをもたらすし、ベストな食事だ」としている。別の研究者もこれに同意し、「植物由来の食品を豊富に含んだ健康的な食事を取れば、サプリメントを使用しなくても必要な全ての栄養素を十分に摂取できる可能性が高い」と指摘している。

 朝の番組などでもよくサプリの宣伝をしており、いかにも効果がありそうに思えますが本試験の結果では少なくとも心血管疾患予防効果は示されませんでした。費用対効果を考えた場合にはあまり摂取することに意味はないのかも?知れませんね。

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佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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