がんに匹敵する都民病?
健康的な肥満も心血管疾患のリスク?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘健康的な肥満も心血管疾患のリスク?’という報告です。
米国の女性看護師9万人超を30年間追跡したコホート研究Nurses' Health Study(NHS)で、糖尿病、高血圧および高コレステロール血症がなく代謝的に健康であっても、肥満の女性は代謝的に健康で肥満がない女性に比べて、心血管疾患(CVD)発症リスクが高いことが明らかになったと報告した。
代謝的に健康な肥満女性では、多変量調整後のCVDリスクは、代謝的に健康な標準体重女性に比べて39%〔危険率1.39倍〕上昇した。しかし、そのリスクは、代謝的に不健康な標準体重女性(同2.43倍)、過体重女性(同2.61倍)および肥満女性(同3.15倍)でより顕著に上昇した。また20年後には、当初は代謝的に健康だった肥満女性の84%、標準体重女性の68%が代謝的に不健康な状態に移行した。
追跡期間中、代謝的に健康な肥満を維持した女性でも、代謝的に健康な標準体重を維持していた女性に比べてCVDリスクが1.5倍だったものの、そのリスクは、代謝的に健康から不健康に移行した標準体重女性(同危険率1.90倍)や肥満女性(同2.74倍)よりも低かった。ベースライン時に代謝的に健康な女性では、特に糖尿病と高血圧の発症がCVDリスクを高めた。以上の結果から、同研究者らは「長期間、代謝的健康が維持された場合でも、肥満はなおCVDの危険因子になると考えられる。一方、BMI区分にかかわらず、代謝的に健康だった中年女性の多くが長期間を経て2型糖尿病、高血圧または高コレステロール血症を発症した。これらの代謝障害への移行は、CVDリスクの大幅な増加に関連していた」と結論付けた。さらに、いずれも観察的知見という研究の限界はあるが「CVDリスク予防として、現在焦点である代謝障害の治療に加えて、標準体重を含む全BMI区分の人に、食事改善や身体活動増強による代謝的健康の維持管理が重要と考えられる」と強調している。
肥満は健康でありえないとの見解には反論もある。NHSでは質問票で身体活動を雑に評価している点を問題視し、「心肺持久力が肥満よりも重要。代謝的に健康な肥満で心肺持久力が適切であれば、CVDの予後および生命予後は極めて良好」と指摘。肥満対策について「より重度の肥満とメタボリックシンドロームへの移行を予防する必要がある。身体活動の増強と運動により心肺持久力を高めることを目的とした公衆衛生の施策が有用。わずかな予防がいかなる治療よりも有益であることに気付かせるのが賢明である」と述べている。
最近は男性の肥満が注目されてはいますが、女性はホルモンにある意味守られているのでそれが弱くなる更年期以降は様々な支障が出てくる可能性があるとされています。そこに肥満が加わると心血管疾患を含めた病気の可能性が大きくなるので注意が必要な様です。