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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

カロリー制限で長生き?

2018年4月3日 公開 / 2018年4月4日更新

テーマ:カロリー制限で長生き?

コラムカテゴリ:医療・病院

カロリー制限で長生き?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘カロリー制限で長生き?’という報告です。

 太っていなくても、1日に食べる量を毎日抑えることが長生きの秘訣かもしれない-。健康な男女が15%のカロリー制限を2年間続けると、減量につながるだけでなく、寿命の延長と関連するバイオマーカーが改善し、老化の進行を抑えられる可能性のあることが分かった。特に、カロリー制限を続けると身体の中心部の深部体温が下がり、血糖値やインスリン値が低下し、代謝を調節するホルモンの値も有意に低下したという。

 同研究者らは今回、平均年齢40歳で肥満のない若い健康な成人53人を、カロリー制限を行う群(34人)とカロリー制限を行わない対照群(19人)にランダムに割り付けて2年間追跡した。その結果、カロリー制限群では15%のカロリー摂取制限が達成されており、対照群では体重が平均で1.8kg増えたのに対し、カロリー制限群では平均で8.7kg減少し、そのほとんどが最初の1年間のうちに減量していたことが分かった。さらに、カロリー制限をすると、動物やヒトでの研究で長寿に関連すると考えられている代謝や生体プロセスにも変化がみられ、代謝が悪くなる原因ともなる酸化ストレスも有意に低減することが明らかになった。

 同氏らによると、この結果は代謝の良さと酸化ストレスの増大が老化を加速させるという説を支持するものであり、「私たちの身体がエネルギーを産生する際には代謝の副産物として活性酸素が産生される。この活性酸素が体内に蓄積すると細胞や組織にダメージをもたらし、老化が進むだけでなく、がんなどの発症にもつながると考えられている」と説明している。

 さらに、同氏は、寿命を延ばすために食事量の制限を試みる場合には、健康的で栄養バランスがよい食事を取るように勧めている。同氏は、カロリー制限は25%を目標とすべきだが、その達成は実際には難しいことや、減量が目的なのではなく、あくまでカロリー制限を続けていくことが大切であることを強調している。しかし、同氏は「カロリー制限を続けることは思っている以上に難しく、全ての人に一律にカロリー制限を勧めるべきではない」としている。

 以前からサルなどでもカロリー制限で寿命が伸びることは確認されていましたが、ヒトではなかなか検証が難しいと言われていました。今回、この様な形でカロリー制限で寿命の延長に繋がるバイオマーカーの改善が認められた事は画期的な事だと思われます。飽食の時代を迎えた現代ではありますが、やはり腹八分は大事な様です!

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