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コラム
腸内細菌叢の成り立ち
2017年10月9日
腸内細菌叢の成り立ち
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘腸内細菌叢の成り立ちについて’というお話です。
*腸内細菌叢の成り立ち
胎児は無菌環境で育つため,腸管内に細菌は存在しない.しかし,生後間もなく腸内細菌叢が形成される.最初に定着するのは大腸菌,エンテロコッカス属,ラクトバチルス属などで,出産時に産道を通る際,経口的に取り込まれるとされる.膣内の細菌叢は腸内細菌叢に似通っており,ここで母親の腸内細菌叢を受け取る仕組みになっている.母親の便を食べることによって腸内細菌を受け継ぐ動物もいる.帝王切開で生まれる場合は,産道を通らないため腸内細菌叢の成立が遅れ,乳酸菌の検出が経膣分娩児と比較して1カ月程度遅れる.
それでもさまざまなものが経口的に腸管内に侵入するため,多くの細菌が腸管内に定着する.ただし,この時期の赤ちゃんの便は臭いも強くない.やがて離乳食が始まる頃には成人同様に臭くなり,バクテロイデス属などが定着する.つまり,これらの菌は食事などを介して経口的に侵入すると考えられる.最終的にできあがった腸内細菌叢は把握されているだけで便1グラム当たり1兆個を超えるとされ,その99%以上は偏性嫌気性菌である.
大腸内の偏性嫌気性菌は,食物繊維を分解することで酪酸などの短鎖脂肪酸を産生する.酪酸は大腸粘膜上皮のエネルギー源として重要な成分である.この結果粘膜上皮から産生されるムチンは,好気性菌と嫌気性菌の定着に必要な環境を作り,腸内細菌叢と大腸粘膜上皮は共存状態にある.しかしこれは腸内細菌叢の機能の一部にすぎず,膨大な数の細菌からなる腸内細菌叢の存在意義は十分に明らかになっていない.
*広島大学病院感染症科教授 大毛宏喜先生のコラムを抜粋し、一部改変
腸内細菌に関しては最近、遺伝子検索が十分に行われる様になってから
急速に様々なことが判明して来ました。現段階で難治性腸疾患とされる潰瘍性大腸炎治療に先進的治療ではありますが、便移植が行われ成果も挙げて来ています。今後、益々この分野の研究が進歩することで様々な疾患の治療に便移植が導入される日が来るかも?知れません!
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