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中年期における認知症のリスクとは?

佐藤浩明

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テーマ:認知症予防?

中年期における認知症のリスクとは?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘中年期における認知症のリスクとは?’という報告です。
  米・Johns Hopkins Universityの研究者らは、米国人1万5,000例超を長期間追跡した大規模コホート研究Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC)のデータを解析した結果、中年期の喫煙や糖尿病などの血管リスク因子が将来の認知症の発症リスク上昇に関連することが示されたと発表した。ARIC研究では、1987~89年に米国の4地域から44~66歳の成人を登録し、2011~13年まで計5回の認知機能検査を実施して追跡した。今回の解析対象は1万5,744例(黒人27.1%、白人72.9%)で、このうち1,516例が認知症と判定された(女性57.0%、黒人34.9%、ベースラインの平均年齢57.4歳)。
 解析の結果、中年期の血管リスクと将来の認知症リスク上昇との関連が認められた因子は、黒人(危険率1.36倍)、高齢(ベースライン時60~66歳、同8.06倍)、低学歴(高等学校未修了、同1.61倍)、アポリポ蛋白(apo)E ε4対立遺伝子保有(同1.98倍)、中年期の喫煙歴(同1.41倍)、中年期の糖尿病(同1.77倍)、中年期の高血圧前症(同1.31倍)、中年期の高血圧(同1.39倍)であった。年齢以外では、apoEε4対立遺伝子保有が最も強いリスク因子で、中年期の糖尿病もほぼ同等であった。中年期の総コレステロール値と将来の認知症リスク上昇との関連は認められなかった。
 人種別の解析では、中年期の喫煙は白人においては認知症の予測因子であったが(危険率1.62倍)、黒人(同1.07倍)では関連が認められなかった。また、apoEε4対率遺伝子保有による認知症リスクは黒人(危険率1.61倍)より白人(同2.23倍)で高かった。同氏らは「今後の治療や予防に関する研究において、apoEなどの広く認知されているリスク因子に基づいてアルツハイマー病に特異的な治療薬の候補を特定するに当たっては、黒人におけるapoEの役割を理解することが不可欠だ」との見解を示している。
 同研究者らは「今回の研究で、中年期の喫煙、糖尿病、高血圧前症および高血圧などの血管リスク因子が将来の認知症発症に重要な役割を果たすことが示され、白人に比べて黒人で発症率が高いことが判明した」と結論付けている。さらに、「認知症との関連が認められた血管リスク因子いずれも修正が可能なので、認知症の多くは予防または遅延が可能」と強調し、「今後の研究では、認知症発症率の人種差を生むメカニズムの検討や、認知症のリスク因子としての不顕性血管疾患(全身および脳血管疾患)の評価を行う必要がある」と述べている。
 今までも糖尿病を含めた様々な生活習慣病が認知症のリスクになるということは知られていましたが、今回の研究でも同様の結果でした。報告でも述べられていますが、別の見方をすれば喫煙を止めて高血圧や糖尿病にならない様に気をつければ認知症になりにくくなるのはどうも確かな様ですから将来に向けた生活習慣の改善が認知症発症にも大事なようですね。

17.8.26 トマト
 我が家の庭のトマト。一方からの夏の不十分な暑さのせいで収穫は難しそうです(泣)

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佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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