30歳男性の1/3が糖尿病発症の可能性?
便秘に注意?
便秘は白人に比べ非白人に多く、男性に比べ女性にやや多く、高齢になるほど有病率が高まる。便秘の要因としては社会経済状況の悪化や保護者の教育レベルの低さ、身体活動の低下や薬剤、抑うつ、精神・身体的虐待やストレスの大きいライフイベントなどとの関連が報告されている。
これほど便秘に関連した要因が多いことは何を意味するのか。「慢性便秘症は消化器専門医だけでなく、どの診療科、どの医師も遭遇する診療科横断的な疾患ということ」と横浜市大の中島教授。一方で、便秘症診療の大きな問題の1つは「医師と患者のすれ違い」と指摘する。「例えば、便秘を訴える患者に医師が1日の排便回数を尋ねたとする。患者が“2-3回は出ます”と答えると、医師が“それじゃ、便秘ではない”と決めつけてしまい、診察が終了してしまう」(中島教授)
こんなデータもある。島根大学の木下教授らが数年前、同大学病院の外来で1週間に出された全ての処方箋薬の数と薬剤の種類を調べたところ、便秘薬が全処方薬の14.7%を占めていたそう。診療はすれ違いつつも「便秘薬は日常診療で大量に使われているのが現状」(木下教授)と言える。
「慢性便秘症は一度かかると原則、治癒しない。一生付き合っていかなくてはならない疾患。「処方箋便秘薬で症状のコントロールがうまくいかない、あるいは診療への満足度が低い患者は、市販薬を求め薬局に向かってしまう」と指摘する。多くの市販便秘薬の主成分は、刺激性下剤に含まれるセンナやセンノシド。いずれも、海外の診療ガイドラインでは、浣腸などと並ぶ“rescue therapy”として、ごく限定的な頓用が推奨されている成分だ。一方、尾高クリニックの尾高先生が数年前に行った調査では、約9割が「刺激性下剤をよく使う」と回答していたそう。同クラス薬の長期連用・不適切な使用に伴う腸管障害や依存性・習慣性による便秘症の難治化は、日本の便秘症診療の大きな問題の1つと指摘されている。
しかし、市販の便秘薬を求める患者が医療機関での治療を望んでいないわけではないようだ。島根大学附属病院では2015年4月から「便通異常外来」を開設。すると「受診を希望する患者でたちまち予約でいっぱいになった。当初、担当医師は男性だったが、女性患者から女性医師の診療を希望する意見が相次いで2016年秋からは女性専用外来も開設。多くの女性患者が訪れている。担当医師たちは対応に追われ大変になったが、便通異常に困っている人が多いことを改めて実感した」と木下教授は振り返る。
*m3.comのコラムを抜粋し、一部改変
確かに便秘で受診なされる方は最近、多い様に感じます。いずれも当初は市販薬を使用していてなかなか改善されないで受診なされる方です。私は基本的には上記で挙げられている刺激性の下剤はなるべく使わない様にしており、最近登場した新しいタイプの薬剤も時折処方しますが、長年便秘に悩んでいた20代の女性がその薬剤で著明に改善したということも経験しており、便秘治療の難しさも感じています。