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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

BMI上昇で心血管代謝リスク上昇?

2017年7月24日

テーマ:生活習慣病予防

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

BMI上昇で心血管代謝リスク上昇?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘BMI上昇で心血管代謝リスク上昇?’という報告です。
 BMI高値は心血管代謝疾患の危険因子とされているが因果関係は不明である。英・University of Glasgowの研究者らは、UK Biobankに登録された約12万例のデータを対象に解析を実施した結果、体格指数(BMI)高値と高血圧、冠動脈性心疾患、2型糖尿病のリスク上昇との間に因果関係が示されたと発表した。
 従来、BMIと心血管代謝疾患リスクとの関連は観察研究により検討されており、関連因子を完全には排除できなかった。この限界を克服するため、Ly同氏らは遺伝子情報による検討を実施した。解析対象は、UK Biobankの過去の約34万例を対象にした遺伝子関連研究でBMIに関連付けられた93の多遺伝子リスクスコアを用いた解析によりBMIと心血管代謝疾患(冠動脈性心疾患、2型糖尿病、高血圧、脳卒中)発症リスク、収縮期および拡張期血圧、心拍数との因果関係を検討した。
 解析の結果、BMI高値と高血圧リスク〔BMI 1標準偏差上昇当たりの危険率1.64倍〕、冠動脈性心疾患リスク(同1.35倍)、2型糖尿病リスク(同2.53倍)との間に有意な正の関連が認められた。また、BMI高値と収縮期血圧上昇および拡張期血圧上昇との関連も認められた。これらの関連は飲酒、喫煙歴、年齢、性、降圧薬使用とは独立して認められた。
 一方、観察研究としての検討ではBMIと脳卒中リスク(危険率1.26倍)および心拍数との関連も認められたが、遺伝子解析ではBMIと脳卒中リスクおよび心拍数との関連は認められなかった。
 以上の結果から、同氏らは「BMI高値と心血管代謝疾患リスク上昇との関連を示すエビデンスがまた1つ増えた。今回の結果は、肥満が増加している多くの国の公衆衛生政策にとって重要である。一般人口における心血管代謝疾患のリスクを低下させる上で、BMIは重要かつ修正可能な危険因子である」と結論付けている。
 最近は少し小太り程度が長生きとも言われている様ですが、英国人でもやはり肥満が進行すると心血管疾患を含めた様々な発症リスクが増加するのは間違いない様です。そう考えると体質や遺伝的な問題もあるかも?知れませんが、適正体重を維持する努力はとても大事というだということになりますね...

17.7.23 蓮

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