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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

地球温暖化で糖尿病増加?

2017年4月12日

テーマ:糖尿病関連の報告

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

地球温暖化で糖尿病増加?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「地球温暖化で糖尿病増加?」という報告です。
 地球温暖化と糖尿病が関連するという驚くべき知見が報告された。気温が1度上昇するごとに、米国だけでも新たに糖尿病と診断される患者が年間で10万人以上増加するという。
今回の研究著者らは、寒波などの到来で気温が低い状態が続くと熱をつくり出して体温を維持する働きをもつ「褐色脂肪細胞」が活性化されるとしている。体内の余分なカロリーを中性脂肪として身体に蓄積する働きをもつ「白色脂肪細胞」とは異なり、褐色脂肪細胞を活性化させるとインスリン感受性が改善すると考えられている。「褐色脂肪細胞には、エネルギーを燃焼し熱を産生することで、寒い環境でも体温の低下を防ぐ重要な働きがある。一方で、温暖な気候下では褐色脂肪細胞は活性化されにくく、これがインスリン抵抗性や糖尿病の発症につながる可能性が指摘されている。そこで、われわれは室外の気温と糖尿病が関連するのではないかと考えた」と、研究を主導したライデン大学の研究者は述べている。
 最近の研究では、2型糖尿病患者にやや寒い気温の環境で10日間過ごしてもらったところ、インスリン抵抗性が改善したとの結果が得られている。同氏らによると、この結果は褐色脂肪細胞の活性化が影響した可能性があるという。また、別の研究では褐色脂肪細胞は1年のうち冬期に最も活性化されることが報告されている。今回の研究では米国50州および3領域におけるデータと米国疾病管理予防センターの調査に基づく糖尿病発症率と、各州の年間平均気温との関連を調べた。また、研究チームは世界保健機関のデータベースから得た血糖値の上昇と肥満率に関するデータと世界の年間平均気温との関連も調べた。
その結果、気温が1度上昇すると米国における糖尿病発症率は1,000人あたり0.314人増加し、また世界中の耐糖能異常の有病率も0.170%増加することがわかった。同氏は「今回の研究で、外気温の上昇が糖尿病患者の増加と関連する可能性が示唆された。このように、地球温暖化はわれわれの健康に深刻な影響を及ぼしているかもしれず、この可能性にもっと目を向けるべきだ」と述べている。
一方で、米モンテフィオーレ医療センターの研究者は、「興味深い研究ではあるが、糖尿病の成因は複雑であり、褐色脂肪細胞という1つの要因の影響がこれほど大きいものとは考えられにくい」と述べている。同氏は、参加者の自己申告による糖尿病発症数が正確なものでない可能性や褐色脂肪細胞の役割はいまだ明らかにされていない点を指摘している。
確かに糖尿病の成因は多岐にわたるため地球温暖化そのもので糖尿病が増えるかどうかに関しては疑問は残りますが...でも、最近注目されている褐色脂肪細胞の働きに関してはこの報告通りでしょうから今後25年で糖尿病の患者数が1.5倍に増えると予想されているよりも地球温暖化が深刻化するとさらに増える可能性も否定出来ません。いずれにせよ特に日本人は過体重にならないように食事にはくれぐれも気を付けて運動を心がけることが大事ですね!

17.4.11 桜
 こちら福島にも漸く遅い春が訪れました!

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