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コラム
運動で糖尿病に伴う認知機能が改善?
2017年1月26日
運動で糖尿病に伴う認知機能が改善?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「運動で糖尿病に伴う認知機能が改善?」という報告です。
中強度の運動を習慣的に行うと、2型糖尿病に伴って低下した認知機能が改善することを、筑波大学の研究グループが、ラットを用いた実験で突き止めた。運動によって2型糖尿病の海馬で低下していたグリコーゲン由来の乳酸輸送能が回復し、これによって認知機能の改善が得られるという。
2型糖尿病に伴う認知機能低下の要因には、海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度の低下や神経細胞の炎症などの関与が指摘されているが、脳の糖代謝異常に関する研究は進んでいない。今回、研究グループは、まず、ヒトの2型糖尿病モデルであるOLETFラットと健康な対照ラットを用いて、海馬におけるグリコーゲン貯蔵量と神経細胞への乳酸取り込みを担うMCT2蛋白質の発現量を比較した。
その結果、OLETFラットの海馬では、対照ラットに比べてグリコーゲン貯蔵量が有意に増加し、MCT2発現量が有意に低下していることがわかった。また、神経活動を活性化させる運動時には、健康な対照ラット、OLETFラットともに海馬グリコーゲン貯蔵量が減少することも突き止めた。このことから、研究グループは、海馬で利用可能なグリコーゲン貯蔵量が増加しているものの、海馬のMCT2発現量が低下し、神経細胞への乳酸輸送が低下することが、2型糖尿病に伴う認知機能低下につながると述べている。
次に、研究グループは、OLETFラットと健康な対照ラットを用いて、30分間の中強度運動を4週間行わせ、認知機能や海馬のグリコーゲン貯蔵量、MCT2発現量の変化を観察した。その結果、4週間の中強度運動を実施後には、OLETFラットの認知機能が改善したほか、同ラットでもともと高まっていたグリコーゲン貯蔵量がさらに増加し、低下していたMCT2発現量が回復していることも確認された。
研究グループは、これらの結果から、2型糖尿病の海馬機能は中強度運動によって回復し、これにはMCT2を介したグリコーゲン由来の乳酸輸送能の改善が関与するものと考察しており、海馬における乳酸代謝の改善が糖尿病に合併する認知機能低下の治療標的になりうるとしている。
糖尿病の患者さんでは認知症が起きやすいと言われていますし、運動療法は糖尿病の基本的な治療でもありますから今回の報告で改めて運動の重要性が再認識されたと言うことになります。継続することはなかなか難しい運動ではありますが、様々な好影響が認められていますのでこれをやらない手は無いかも知れませんね(笑)
今回も当クリニックの待合室に飾ってある絵の作者でもあるはせがわいさおさんの壁紙です。
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