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コラム
大衆はメディアに左右されがちだが...?
2016年7月15日
おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「大衆はメディアに左右されがちだが...?」という報告です。
2013年10月から2014年5月にかけて、脂質改善薬であるスタチンの副作用が懸念された時期があった。非盲検の観察研究の結果に過ぎなかったのだが、英国学術誌にネガティブデータが2報発表された。それを受けて、2014年3月13日に、イギリス大衆誌であるDaily Mail(日本でいうと夕刊フジに類する)に記事が掲載された。さらに、同年5月18日には大手一般新聞であるThe Guardianにも記事が掲載された。こうしたメディア情報に影響され、その後6ヵ月間にスタチン投与をやめた人の割合が、1.12倍に増加したそうだ。元々は不十分な根拠だったにもかかわらず、大衆はメディアの発する健康情報に対して敏感に影響されがちである。しかし、安心したことには、そのまた6ヵ月後にはほぼ1倍と、元の状態に戻っていた。つまり、一時的には大衆はメディアに洗脳されたものの、ほとぼりが冷めるとちゃんと元に戻っていた。
この研究は、イギリスのGP(かかりつけ医)データベースから、スタチンの薬歴情報を時系列的に調べるという地道な研究であった。常識的な結論ではあったが尊敬に値するだろう。なお、高齢者ほど、そして長く服用しているほど、メディアの発する副作用情報に対して敏感に反応していた。高齢者になると無頓着になるかと思いきや、イギリスのお年寄りはたいしたものである。
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