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一個のリンゴで薬剤師いらず?

佐藤浩明

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「1日1個のりんごで医者いらず」という格言に、どこまで信憑性があるのかを大真面目に検証した論文が掲載された。りんごが健康に良いことを示した論文は幾つもあるが、それによって「医者いらず」になるのかどうか、すなわち、医療サービスの利用が減るのかどうかは明らかではない。そこで、米Dartmouth大学の研究者らは、全米健康栄養調査の参加者データに基づき、りんごの常食と内科医受診、処方薬使用、一晩の入院などとの関係を調べた。
 分析対象とした8399人のうち、毎日、りんごを149g(小さなもの1個)以上食べていた753人(9.0%)を「常食者」と定義。1日のりんご摂取量が1個未満の7646人(非常食者)と比較すると、りんご常食者の学歴は高く、喫煙歴を持つ人の割合は少なかった。分析では、1年間の受診回数が1回以下、つまり「医者いらず」だった人の割合は、常食者が39.0%、非常食者では33.9%で、差は有意だった。過去1カ月間に処方薬を使用しなかった人の割合も、それぞれ47.7%と41.8%で危険率は1.29倍になった。一方、過去1年間に一晩の入院をした割合やメンタルヘルスの専門家を受診した割合には差は見られなかった。
 しかし、社会人口学的特性や健康関連特性で調整すると、「医者いらず」の割合に見られた有意差は消失。調整後も差が有意だったのは、過去1カ月間に処方薬を使用しなかった人の割合で、危険率は1.27倍だった。
 以上をまとめると、「1日1個のりんごで医者いらず」が事実であることを示すエビデンスは得られなかった。だが、りんご常食者では処方薬の使用が少ないことが示唆された(「1日1個のりんごで薬剤師いらず」)。

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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