暑い時の水分補給には何が良いのか?
「メタボローム」というのは聞きなれない言葉かもし れないが、体内の代謝で生じるアミノ酸や脂質、有機 酸といった小さな化合物のことで、約3000種類ほどあ ると推測される。遺伝子は、いわばからだの“設計図” であり、遺伝子解析がこの設計図を明らかにするのに対し、メタボローム解析は、遺伝に加え、生活習慣、地 理的な条件といった環境要因の影響を受けた結果と して現れる、“今”のからだの状態を見ている。「この 代謝物が多い人は、○○病を発症するリスクが高い」 といった予測が可能となる。
患者と健康な人のメタボロームを比較し、動物試験の結果も組み合わせて解析したところ、「脂質成分のレシチンが腸内細菌に代謝されて生じるトリメチ ルアミン -N- オキシド(TMAO)が心疾患発症のリス ク要因になる」という可能性が示された。その後同じ研究者らは、レシチンが腸内細菌の作用によって TMAO に変わるのをヒト試験で確認するとともに、約4000 人の血中 TMAO 濃度を調べ、これが心疾患リスクを反映していると結論した。
研究はまだ、始まったばかりだが、飲酒や運動によ って体内がどのように変化するかなどについて、すで に新しい知見が生まれている。具体的な成果が出る のは 5 年、10 年先になるだろうが、世界でも同じよう な試みが相次いでおり、一人ひとりのからだの状態に 合わせた、テーラーメイドの予防法が提案できる日も そう遠くはなさそうだ。
〒960-8163 福島市方木田字中屋敷1−1 さとうクリニック内科・消化器科 http://satoclinic.net