暑い時の水分補給には何が良いのか?
Helicobacter pylori(以下、HP)感染は胃がんの最も強力な危険因子と認められている。しかし、HP感染者の9割以上は胃がんを発症しないことから、HP感染下に胃がん発症リスクを増大させる他の要因があることが考えられる。久山町研究での検討結果から、その要因の1つに糖代謝異常が示唆されることが紹介されました。HP感染は胃がんの危険因子であり、久山町研究においても、HP抗体陽性者は陰性者に比べて、胃がん罹患率が男女とも約2倍と有意に高い。また、HP感染の疑いが強い住民における20年間の胃がんの累積罹患率は7.4%と高い。しかし、この結果はまた、HP感染者の9割以上は胃がんに罹患していないということを示す。同研究者は、HP感染は胃がん発症の十分条件ではなく、他の要因が重なることで発症リスクが増大するのではないかと考察し、その要因の1つとして糖代謝異常について検討した。
久山町における検討では、40歳以上の住民を空腹時血糖レベルで3群に分け、胃がん発症の危険率をみたところ、空腹時血糖と胃がん発症との関連が認められた。さらに、HP抗体の有無別にその関連を検討したところ、HP抗体陽性者は空腹時血糖と胃がん発症との間に関連が認められたが、HP抗体陰性者では同関連は認められなかった。また同氏は、慢性的な高血糖が胃がん発症に与える影響を調べるため、40歳以上の住民2,603人をHbA1cレベルで4群に分け14年間追跡した。その結果、HbA1cにおいても胃がん発症との関連が認められ、対象者をHbA1cレベルとHP抗体の有無で層別し、胃がん発症の危険率を検討、HbA1c高値かつHP抗体陽性群で、相乗的に胃がん発症のリスクが上昇することが示された。
これらの結果から、同氏は「比較的低いレベルの血糖上昇から胃がん発症のリスクが上昇する可能性があり、HP感染に慢性的な高血糖が加わることで、胃がん発症リスクがさらに上昇することが示唆される」と述べ、「HP感染および高血糖・糖尿病は胃がんの危険因子の1つであり、両者の間に相乗効果があることが示唆される」とまとめた。